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金融技術革新、ガバナンス担い手は異なる利害関係者、対話開始ーG20

  • 異なる立場のステークホルダーが会する場の提供は歴史的ー村井教授
  • 分散型台帳技術やP2P進展で規制や監督通じた公益確保が困難にも
ブロックチェーン開発会社ブロックストリーム社のアダム・バックCEO

ブロックチェーン開発会社ブロックストリーム社のアダム・バックCEO

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
ブロックチェーン開発会社ブロックストリーム社のアダム・バックCEO
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

福岡市で8日に開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、規制当局のほか新興企業や既存金融機関など異なる立場のステークホルダーが新たな金融技術のガバナンスの担い手になるとし、対話による課題解決を模索していくとの認識を共有した。

  金融技術革新についてのパネルディスカッションでモデレーターを務めた慶応大学の村井純教授はイベント後の記者会見で、必ずしも利害が一致しない複数のステークホルダーが一堂に会して議論を始める場がG20で提供されたことは「歴史的な役割」と評価した。
   
  パネリストは、ブロックチェーン開発会社ブロックストリーム社のアダム・バック最高経営責任者(CEO)、オランダ中央銀行総裁で金融安定理事会(FSB)副議長のクラス・クノット氏、国際金融協会(IIF)のシニアディレクターを務めるブラッド・カー氏など新旧の金融産業を代表する顔ぶれ。議論では、技術への信頼性や既存金融機関の安定性について異なる主張が展開された。

  村井氏は、これまで規制によって課題を解決してきた当局にとって技術革新は全く新しい概念とした上で、G20での議論を土台にトップが集う場を継続して設けることで、金融の安定性維持につながる仕組みが作られるとの期待感を示した。

  また、ディスカッションに参加したジョージタウン大学研究教授の松尾真一郎氏は、既存金融機関や規制当局と金融技術革新に携わる人では使う言語から異なり、意思疎通ができていないのが現状として、言語の定義から始めたG20の作業を評価。今後は大学レベルでも交流の場を設けてガバナンス構築への協力者を増やしていきたいと語った。

  従来は金融機関が企業や個人などの取引を仲介しており、当局は金融機関を対象に規制することで監督してきた。しかし、市場参加者間で直接取引する分散型台帳技術(DLT)や「P2P」(1対1の通信)プラットホームの進展でガバナンスの担い手が不在となり、金融安定性への影響が懸念されている。

  G20に向けて同問題を議論してきたFSBは6日の報告書で、DLTは既存金融機関の支払い余力と流動性のリスクを低減する一方で、仲介金融機関がなくなると規制や監督を通じた公益確保が困難になる可能性があると指摘。当局や技術者、産業界や学界を含めた広範な利害関係者間で対話を通じたアプローチを模索する必要があると明記した。

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