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FRBの会議、金融政策枠組み改善で明確なコンセンサスに至らず

  • ドット・プロットやQE、インフレ目標などシカゴ連銀舞台に議論
  • 1年間かけての検証、革新的というよりは進化的な結論となりそう

米連邦準備制度は5日、シカゴ連銀が2日間の日程で主宰した会議を終えた。金融政策の戦略や手段などについて金融当局者や学識経験者らが意見を交わしたが、将来の深刻なリセッション(景気後退)に備えた取り組みの改善策を巡り、ほとんどコンセンサスに至ることはなかった。

  今回の会議は、インフレ目標達成に向けたアプローチに関し、米金融当局が1年間をかけて進める検証作業の中核に位置付けられている。連邦準備制度が昨年11月に検証着手を発表して以降、当局が直面する課題は切迫の度が高まっている。インフレ率は当局目標の2%を下回って推移する一方、貿易戦争の激化によって景気後退リスクについて懸念が急速に広がっている。

Key Speakers At The Monetary Policy Strategy, Tools, And Communication Practices Conference

講演したパウエル議長(6月4日)

Photographer: Taylor Glascock/Bloomberg

  議論されたのは量的緩和(QE)や最大限の雇用、ドット・プロット(金利予測分布図)を含むコミュニケーションの在り方などだ。その概要を次に列挙する。

ドット・プロット

  会議冒頭に講演したパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、当局者各自の金利予測を示すドット・プロットに完全には満足していないことをあらためて表明した。予想中央値に注目が集まることで、「事態が予想通り推移した場合に、連邦公開市場委員会(FOMC)の典型的な参加者がどう行動するか」を強調することになっていると議長は指摘した。

  その結果、「経済情勢の予期せぬ展開にFOMCがどう反応するかという、もっと重要なトピックから注意をそらすケースが時々ある」とし、「不確実性が高まった局面では、予想中央値となっているドットは可能性としては最も高い結論と考えるのがベストかもしれない」と語った。

  米ブランダイス大学のスティーブン・セケッティ教授とニューヨーク大学のカーミット・ショーンホルツ教授は会議に提出した共同執筆の論文で、個々のドットがどの当局者のものか明らかにしていない現状を大幅に改め、議長の分も含め誰の予想であるかを明示するよう提言した。

QE

  パウエル議長は金融危機のさなかとその後の時期について、金利の道筋についてのフォワードガイダンスやQEがいかにうまく機能したかに言及。「こうした政策は有意な形で需要を下支えしたが、従来の金利の手段に完全に代替するものと考えるべきではない」と論じた。

  ノースウェスタン大学のジャニス・エバリー教授とハーバード大学のジェームズ・ストック教授、ジョンズ・ホプキンス大学のジョナサン・ライト教授は共同の論文で、「金利の期間構造を早期にかつ積極的に平たん化させることで、労働市場の回復ペースを大幅に加速し、リフレを支援することが可能となる」との分析を示した。

  ノートルダム大学のエリック・シムズ教授、ジン・シンシア・ウー准教授も別の共同論文で、QEがうまく働いた点を認めた上で、もはや刺激策が不要なさせるよう主張した。

  一方、政策金利決定の指針「テイラー・ルール」を考案したことで知られるスタンフォード大学のジョン・テイラー氏は、QEは全く機能しなかったとして異議を唱えた。

平均物価目標

  今週の会議の前まで、平均でインフレ目標達成を目指していく案が、現行の取り組みに代わる有力候補と考えられていた。インフレ率が2%の当局目標を下回って推移してきた場合、その後は穴埋めとして2%を上回る上昇を容認するもので、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も前向きに評価している。

  しかし、会議の質疑応答では、名目国内総生産(GDP)の伸び率を目標とする考えをセントルイス連銀のブラード総裁らが擁護する場面もあった。

大変革予想されず

  米金融当局者は、金融政策枠組みの検証作業の結果について予断を持つことはないとしているが、政策運営の在り方に大変革をもたらすことはないとの立場を伝えている。

  クラリダFRB副議長は検証の結論について、革新的というよりは進化的となる公算が大きいと繰り返し説明しており、4日のCNBCとのインタビューでも「枠組みの大幅変更のハードルは高くなるだろう」と発言した。

原題:Fed’s Dot Plot, QE, Average Inflation: Fed Conference Takeaways(抜粋)

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