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FRB首脳、2008年以来の利下げに若干近づく-米中通商対立激化で

  • パウエル議長とクラリダ副議長の相次ぐ発言で市場には安心感広がる
  • 見通しへの影響判断には時期尚早、時間稼ぎか-ロベルト・ペルリ氏

米金融当局の首脳にはまだ、利下げに踏み切る用意はない。しかし、米中などの貿易摩擦の激化を受けて、当局者はその方向に仕向けられている。

  連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長とクラリダ副議長は4日、米国と主要貿易相手国・地域との通商対立が米経済の見通しに影を落としている兆候に関し、金融当局として注視していると述べ、神経をとがらせている投資家を安心させた。正副議長の発言は別々の機会に行われたものだが、2008年以来となる米利下げに若干近づいた形だ。

Key Speakers At The Monetary Policy Strategy, Tools, And Communication Practices Conference

シカゴで講演したパウエル議長(6月4日)

Photographer: Taylor Glascock/Bloomberg

  MUFGユニオンバンクのチーフ金融エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「市場が織り込んでいる年内1回ないし2回の利下げ観測を金融当局が追認する可能性にパウエル議長が扉を大きく開けたとも考えられる」と指摘した。

  ラプキー氏以外のFRBウオッチャーはパウエル、クラリダ両氏の発言について、今月18、19両日の連邦公開市場委員会(FOMC)での行動を示唆するまでには至らなかったと話す。クラリダ副議長は、大幅変動に見舞われることのある市場の動きに金融当局が「束縛されるわけにはいかない」と語った。

  そうであっても、深刻化する通商対立に伴うリスクをFRBの正副議長が認めた事実は、年内の金融緩和観測を積極的に織り込んでいる投資家に安心感を与えた。S&P500種株価指数は2.1%高と1月以来の大幅上昇となった一方、米10年債利回りは前日付けた1年8カ月ぶりの低水準から反転した。

  元FRBエコノミストで現在はコーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は「パウエル議長は基本的に、当局として警戒していると市場に伝えた形だ」としつつも、「それと同時に、議長が述べたように、事態がどう展開するかは誰も分からない。このため、米国の見通しに対する影響を判断するには時期尚早であり、議長は時間稼ぎしているように見受けられる」と述べた。

  今週には当局者にとっても重要な経済指標が2つ公表される。5日には米供給管理協会(ISM)が5月の非製造業総合景況指数を発表し、7日には5月の米雇用統計の発表が控えている。

  ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、マーク・ビトナー氏は「米金融当局は利上げについてと同じように、利下げについても辛抱強く臨んでいる」とし、「通商問題を巡ってエスカレートする言動に市場は非常に直感的に反応しているが、金融当局としては成り行きを見守るのに多少の時間が必要だろう」と説明した。  
  
原題:Fed Inches Toward Rate Cut as Trump’s Trade War Frays Patience(抜粋)

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