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各国中銀は行動の構え、世界経済に警戒信号-日本が最大のジレンマか

  • 米金融当局は年内2回利下げか、他国も一段の緩和へ-JPモルガン
  • 需要下支えにG20全般の広範囲な政策協調が至急必要-HSBC

世界経済が困難な状況に向かう中、各国・地域の中央銀行はかつて自由に使えた火力が欠如していても、率先して対応する役割を再び果たそうとしている。

  オーストラリア準備銀行(中央銀行)は4日、約3年ぶりに利下げを実施し、インド中銀も6日にこれ追随する形で緩和に動く可能性が高い。各国・地域の金融当局は、弱い成長とインフレを反転させようと再度てこ入れを目指す構えだ。

IMF World Economic Outlook Press Briefing

4月12日にワシントンで開かれたG20財務相・中銀総裁会議の出席者

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、必要なら利下げの可能性を閉ざさない姿勢を示唆した。サマーズ元米財務長官はツイッターで、リセッション(景気後退)リスクを遠ざけるために金融当局が今後数カ月で少なくとも0.5ポイント利下げすべきだと指摘した。欧州中央銀行(ECB)当局者らは6日の政策委員会で、新たな条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)について、ユーロ圏の銀行にとって有利な条件で合意する見込み。

  アジア株式相場はパウエルFRB議長発言の後に上昇。日本株が上昇を主導し、TOPIXは一時2%余りの大幅高となった。

Amount of easing priced in has surged over recent days

  世界の金融政策はわずか数カ月前よりも緩和に転じつつある。外交問題評議会(CFR)の指数によると、現在の金融政策は2014年以降で最も緩和状態にあるが、JPモルガン・チェースは年内2回の利下げが見込まれる米国を筆頭に、先進国・地域の指標金利の平均が今よりも緩和的な水準で年末を迎えると予想している。

  今週末に福岡市で開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席する各国・地域の当局者はこうした見通しに向き合うことになる。

  元ホワイトハウス当局者で、現在は戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアバイスプレジデントを務めるマシュー・グッドマン氏は「世界経済成長に関するムードは前回のG20会合当時よりも際だって暗くなる公算が大きい。これを受けて主要国の財務省と中銀には、新たな刺激策を求める圧力がかかる可能性がある」と述べた。

  世界銀行は貿易が金融危機以来の低い伸びにとどまるとして、19年の世界経済成長率予想を下方修正した。

  各国・地域の当局者は金融政策が以前ほどの効力を持たないことを認識しつつ今回の会議に臨む。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストの試算によると、08年の金融危機以来、各国・地域の中銀は計700回余り利下げし、総額12兆ドル(約1300兆円)相当の金融資産を買い入れた。

  米金融当局は現在、政策金利のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を2.25ー2.5%としており、ゼロまで利下げする余地はあまり残されていない。前回の景気後退への対応で当局は計5ポイント利下げしていた。その後米当局は少なくとも利上げしたが、ECBと日本銀行は危機対応の利下げから方向転換には至っておらず、政策金利はゼロを下回る水準にとどまっている。

  最大のジレンマに見舞われそうなのはG20開催国の日本だ。5カ月連続で輸出が減少した上、予定される消費増税がリセッションを招きかねないとの警戒感もあることから、日銀の黒田東彦総裁は再び対応を迫られている。

  HSBCホールディングスのアジア経済調査共同責任者、フレデリック・ニューマン氏(香港在勤)は、「景気指標が赤信号を点滅し始めた中、需要を支えるためG20全般のより広範囲な政策協調が至急必要とされる」と指摘。「その一方で当局者らは、各国経済の緩衝材が薄くなったという現実に直面している」と付け加えた。

原題:Central Banks Are Poised to Act as World Economic Warnings Flash(抜粋)

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