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限界近づくフランス債投資、日本勢はスペインなど周縁国に分散へ

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日本人投資家から人気を集めてきたフランス国債の優位性が揺らいでいる。世界経済の減速懸念を背景とした主要国金利の急速な低下で、日本勢の資金は、フランスよりも信用リスクを伴うが運用利回りの高いスペインなど周縁国と呼ばれる別の欧州債に向かっているようだ。

Jolted Into Action By Brexit, French Londoners Flock To Vote

フランス国旗と欧州旗

Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

  米資産運用会社アライアンス・バーンスタインの駱正彦債券運用調査部長は、国内勢の債券投資は「やはり欧州債を主とする為替ヘッジ(為替差損の回避措置)付き外債が中心になる」と指摘。ヘッジ後のフランス国債利回りは日本の超長期債と大差がなくなってきているため、今年度は「ポルトガルやスペイン、ベルギーなどへの資金流入が増える」とみている。

  日本勢にとっての欧州債の投資は、円を元手に対ユーロで為替ヘッジをすると上乗せ金利を得られるため、一石二鳥の妙味がある。フランスの国債はドイツよりも利回りが高い一方、スペインやポルトガルよりも信用力で勝り、日本勢は3月に過去最大となる3兆円を買い越した。

フランス国債投資妙味が低下

  ただ、足元の同国債の10年物利回りは2016年以来の低水準。為替ヘッジからの上乗せ金利を含めても運用利回りは0.4%台を割り、日本国債の20年物利回りを約10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)程度しか上回っていない。

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、日本の投資家に人気の高いフランス債も「さすがに投資妙味という点では限界に差し掛かっているようだ」と指摘。スペイン債やポルトガル債の金利低下幅の大きさから「日本からの資金も含めた利回り追求の動き」が明らかにうかがえると言う。  

  5月下旬に実施された欧州議会選挙を巡っては、欧州連合(EU)の政策に対してフランスやイタリアで懐疑的な政党が獲得票を伸ばしながらも、EU全体としては肯定的な政党が多数派を保つことができた。

  フランス国債の10年物利回りは選挙結果がほぼ判明する前まで0.25%超えでもみ合ったものの、その後は水準を一時0.20%割れまで下げている。スペイン国債利回りにはさらなる下げ圧力がかかり、フランスとの利回り格差は足元で50bp前後と1年ぶりの水準に縮小した。ポルトガルも利回りを大きく下げ、同利回り格差は55bp前後と2010年以来の水準まで縮んでいる。

  一方、イタリア国債は周縁国というくくりの中にありながらも財政問題が懸念され、選挙結果判明後もしばらく弱含んでいたが、今週に入りポルトガルやスペインに追随するように上昇している。アライアンス・バーンスタインの駱氏は、イタリア国債について、ポピュリスト政党の「選挙向け公約のトーンダウンによる不透明感の後退やECBのハト派姿勢維持を受けて市場は落ち着きを取り戻してくる」と指摘。日本の投資家は欧州債を引き続き「買わざるを得ない」とみている。   

(チャートと第8段落を追加して更新します.)
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