リクシル瀬戸前社長:株主総会に向け委任状争奪戦-ウェブサイト開設
黄恂恂-
取締役候補案の鍵を握るのは国内の機関投資家の票
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会社側、株主側提案の計16人全員が選任される可能性も
住宅設備大手LIXIL(リクシル)グループの瀬戸欣哉前社長兼最高経営責任者(CEO)は、6月25日の定時株主総会に向けて、次期取締役候補者を巡る会社側提案への反対と自身らによる首脳人事案への支持を集めるため、委任状争奪戦(プロキシーファイト)を展開する考えを明らかにした。

瀬戸氏 (2016年)
瀬戸氏は29日のブルームバーグのインタビューで、会社側とは候補者選定について話し合いを持ちかけたが応じる様子がないことから、これまでの委任状争奪戦を回避する姿勢を一変させ、「そういうことを考える時期に来ている」と話した。
同社広報担当の高田雅子氏は、指名委員会や取締役会での議論についてはコメントを控えると述べた。
瀬戸氏は30日、「ステークホルダーの皆さまへ」との表題を掲げたウェブサイトを開設。リクシルGを持続的に成長させるため、創業家出身の潮田洋一郎会長兼CEOという特定の個人の意向に左右されず、株主全体の利益を優先する組織を構築する必要があると訴えている。
リクシルGは同日に定時株主総会の招集通知を発表。通知に記載された取締役候補の議案では、会社提案の候補者10人のうち8人の賛否を問う1号議案と、株主提案と重複する元あずさ監査法人副理事長の鈴木輝夫氏と元最高裁判所判事の鬼丸かおる氏の2人についての2号議案に分けられた。株主提案となる3号議案では瀬戸氏ら候補者8人のうち、鈴木氏と鬼丸氏を除く6人が名を連ねた。
1号議案(会社提案) |
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2号議案(会社提案、株主提案) |
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3号議案(株主提案) |
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会社側は招集通知で3号議案に反対との意向を表明。現時点から特定の候補者がCEOに選任されることが前提とされており指名委員会等設置会社のガバナンスの在り方に対する理解に疑義があるほか、候補者として指名するのに十分な合理的理由がない者が見受けられるなどと指摘した。
瀬戸氏によると「海外の投資家は政権選択として捉え、どちらかを選ぶ」可能性が高い一方で、日本の機関投資家は利益相反など問題となるような事案が発生した場合にだけ反対するのが一般的。そのため、どの議案にも反対票が投じられず双方が提案する候補者が選ばれる可能性が残るという。
全員が選任されるのは「非常に好ましくない」と述べ、株主が提案する候補が選任されるよう努力していると話した。会社、株主側を合わせて候補者は計16人となるが、同社の定款では取締役の人数の上限も16人に設定されている。
リクシルGは建築資材や住宅機器系メーカーのトステム、INAX(イナックス)、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が統合して誕生。トップ人事を巡っては昨年、瀬戸氏が社長兼CEOから退任し、トステム創業家出身の潮田洋一郎氏が会長兼CEOに復帰した。
リクシルGが後に発表した報告書で潮田氏が瀬戸氏との意見対立から瀬戸氏に経営を任せることはできないと考え、指名委員会でのCEO交代を提案したと指摘されている。潮田氏は4月、瀬戸氏の任命責任を理由に会長兼CEOを退任する考えを明らかにしていた。