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「4番打者不要、バントで稼ぐ」とバンカメOB、ファンドに理科大出資

  • 独自アルゴリズム使い、学生がAIでデータ分析-本社は学生寮
  • 学生育成のため純利益から3%を上限に運用資金の提供も検討

独自のアルゴリズムで資金運用するレッドフェニックスインベストメントの橋本雅彦最高経営責任者(CEO)は運用戦略を野球に例え「4番バッターは必要ない。塁に出るため常にバント技術を磨いている」と話す。2月に投資運用業の登録が完了し7月の運用開始を目指している。

  ホームランや三振ではなく、ボラティリティーを抑えながらこつこつリターンを積み上げる方法を探しており、同社はそのためのデータ解析に東京理科大学の頭脳に目を付けた。経営学部でデータ分析を手掛けていることに興味を引かれ同大でインターンを募集したのをきっかけに、今では大学から出資を受けるまでに関係が強まっている。

Red Phenix

レッドフェニックスインベストメントのオフィス

Source: Red Phenix Investment

  もともとバンクオブアメリカ証券などで日本国債オプションのトレーダーだった橋本氏(45)。その後ハワイで会社を設立し2015年までパートナーと自己資金を運用していた。トレーダーだったら毎日取引したいところだが、理科大生だったインターンの新田翔さんがリターンを分析したところ、ある条件の日には取引しないほうが損をせず、次の日に1.5倍の取引をすると年間収益が3%上がる日があることが分かった。

  レッドフェニックスは昨年9月、理科大のベンチャーファンド、東京理科大インベストメント・マネジメント(TUSIM)から優先株出資を受け、オフィスを同大神楽坂キャンパスの学生寮内に移転した。同社は学生の人工知能(AI)によるデータ分析力で運用戦略の改善や新戦略につなげることも期待する。新田さんは今年3月に同大大学院を卒業し4月から同社の正社員として働いている。

大学に実利志向

  TUSIMの片寄裕市社長は、海外では大学と大手ヘッジファンドとの産学連携が行われており「データサイエンス系の人材供給と共同研究も踏まえて新しい運用モデルを開発し伸ばしていければと思って出資に至った」と話した。大学内で経済理論やモデルを研究するだけではなく、「実際に実務で使える運用モデルや分析モデルを作ることに貢献したい」という。出資額は非公表。
  
  運用開始するファンドの基本戦略は、TOPIX銘柄を対象としたロング・ショート、日本国債オプションの裁定取引、上場する日本株を対象にした平均回帰と、これら3戦略の組み合わせ。1年間で運用額50億円を目指す。橋本氏は「今後は学生と共同で研究した戦略をプロの目を通して徐々に磨いていきたい」と話す。学生を運用者に育てるために同社の純利益から3%を上限に学生用の運用資金として提供することも検討している。

  運用コンサルティング会社タスク・アドバイザーズの眞保二朗社長は、モデル運用のヘッジファンドと大学の連携について「大学教育は実利的にシフトしており、学生や教員にとって実際の運用に携わることでシミュレーションだけではわからなかった発見がある可能性もある」と述べ、ファンド側には人材確保の面でメリットがあると指摘した。

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