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野村や日本の大手銀行、依然として海外で苦戦-本格進出から40年

  • 集中管理、プロセス重視、数年ごとの幹部交代が海外で通用せず
  • コンセンサス重視の意思決定は時間かかると現・元従業員らが指摘
Pedestrians walk past a MUFG Bank Ltd. branch, a unit of Mitsubishi UFJ Financial Group Inc. (MUFG), in Tokyo, Japan, on Friday, May 10, 2019. 

Pedestrians walk past a MUFG Bank Ltd. branch, a unit of Mitsubishi UFJ Financial Group Inc. (MUFG), in Tokyo, Japan, on Friday, May 10, 2019. 

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Pedestrians walk past a MUFG Bank Ltd. branch, a unit of Mitsubishi UFJ Financial Group Inc. (MUFG), in Tokyo, Japan, on Friday, May 10, 2019. 
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本が世界の経済大国となってから何度も、日本の主要金融機関は投資銀行分野で世界的な地位を確立しようと試みてきた。そして何度も失敗した。

  野村ホールディングスが先月明らかにした計画は、その最新例にすぎない。日本勢が国際資本市場で投資銀として成功できる日がやってくるのか、現・元幹部のほか、アナリストも疑問視している。

  東京で30年以上、金融業界をカバーしているキーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズのアナリスト、デービッド・スレッドゴールド氏は「日本は製造業大国だが金融では影が薄い」と話す。

Fallen From Grace

Once the most valuable, Japanese banks have dropped consirably in two decades

Source: Bloomberg

Average price-to-book ratios for the largest 12 European, six U.S. and six Japanese banks.

  国内環境が厳しい日本の大手金融機関に、海外での弱さは追い打ちをかける。先週発表された決算では、景気減速と貿易摩擦激化の影響が鮮明だった。三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループはいずれも、アナリスト予想を下回る利益見通しを示した。長引く超低金利環境の下、コスト削減が最優先課題となることは自明だ。特に海外での削減が急務になる。

  野村は1980年代初頭、日本の投資家に米国債を販売する目的で優秀なトレーダーを採用したが、以降、国内では通用しても米ウォール街やロンドン金融街のカナリーワーフではあまり機能しない方法でつまずいている。すなわち、過剰なリスク回避や、利益よりもプロセス重視の中央からの集中管理体制、そして上級幹部を数年ごとに交代させる人事慣行だ。

  「日本企業の意思決定はコンセンサス重視でプロセスが込み入っており、非常に遅い」とスレッドゴールド氏は指摘。「こうしたスタイルへの同意はテネシー州の自動車工場労働者からは得やすいだろうが、マンハッタンやロンドンの投資銀行バンカーからは非常に得にくい」と述べた。

  日本勢には欧米金融機関が2008年の金融危機から打撃を受けた際にチャンスがあっただけに、その苦戦ぶりが一段と際立つ。そうした中、証券最大手の野村と銀行最大手のMUFGで戦略が異なり、結果に差が出たことも注目すべき点だろう。株価動向は08年初めから先週末までに野村株は81%、MUFG株は51%、それぞれ下げている。

  MUFGは08年の危機のさなかに米投資銀行モルガン・スタンレーに90億ドル(現在のレートで約9900億円)を出資。今では筆頭株主として、モルガン・スタンレーの高収益事業からの配当を受け取っている。

  一方、野村は破綻したリーマン・ブラザーズの欧州とアジアの事業を買収。この事業および野村の資本市場収入は07年は合わせて120億ドル相当だったが、現在では50億ドル前後。多過ぎる従業員に対して顧客は少なく、野村は守りに回っている。10億ドルのコスト削減のほか、人員を米欧・中東・アフリカで約150人減らし、香港とシンガポールでも削減している。縮小はこの40年で4回目。野村は1980年代と90年代、2000年代にそれぞれ世界的な事業拡大を試みた。

Missed Opportunity

Nomura failed to grab Lehman's share of trading & investment banking

Combined trading and investment banking revenue, which peaked in 2012.

Source: Company filings.

  野村の従業員数には今も、リーマンから引き取った8000人などの影響がある。18年の収入は07年とあまり変わっていないが、人員数は1万人多い。永井浩二最高経営責任者(CEO)は4月のインタビューで、問題の「一番の原因は、コストがやはり高すぎた。レベニュー自体はそこそこ上がっているが、それを上回るコストだった」と語っている。

  野村が海外トレーディング事業で収益を上げられなかったのは、高報酬を支払っているトレーダーにリスクを取ることを許さなかったからだと、同社を最近去った人物の1人が指摘した。リスクポジションの積み上げには常に、本社からの承認が必要だったという。

  90年代に野村の海外事業責任者だったマックス・チャップマン氏は「米国でわれわれが決定したことは全て、夜の間に日本に伝えられた」と振り返る。そうした伝達のための徹夜作業の翻訳で、朝にはぐったりしている従業員がいたとも語った。

Bloated?

Despite recent cuts, Nomura's headcount is 10,000 more than it was pre-crisis

Source: Company filings

  三井住友のニューヨーク在勤の従業員も同様に、米事業の米国人責任者の決定がしばしば、日本人の共同責任者に覆されたと話した。また、同行を含め日本勢は海外に送る幹部を3年ごとに交代させる習慣で、これが担当者の現地市場についての理解や知識を不十分なものにさせたという。

  MUFGの米部門で働いたことのあるトレーダーは、プロセスが他の何よりも重視されるため、数百万ドルの取引での10セントの誤りを処理するのに数十人が関わり数週間かかったと振り返った。各社の現・元従業員らは匿名を条件に語った。

  MUFGの広報担当、長光香奈氏は、こうした内容は過去のことだとし、米国と欧州の証券・投資銀行部門の責任者に日本人以外を起用し、彼らが適切な権限を持って運営できるような構造をつくり出していると説明した。

  みずほと三井住友の広報担当者はコメントを控えた。野村の担当者は、債券のトレーディングにデジタル技術を活用するなど、同社の海外事業改善の取り組みを指摘した。

Smallest & Shrinking

Japanese banks' interest margins, already the lowest, have been declining further

Source: Company filings, European Central Bank

Mitsubishi UFJ figure is the spread between lending & deposit rates in Japan only, adjusted for calendar years. European margin is the difference between corporate loan and deposit rates. U.S. figure is the average of the net interest margins disclosed by JPMorgan, Citigroup, Bank of America and Wells Fargo.

  みずほと三井住友も海外での採用および事業拡大を図ったが、日本の銀行は依然、大半の業務で世界のトップ20に入っていない。その中で、MUFGの相対的な成功が目立つ。同行の18年度利益の約4分の1がモルガン・スタンレーからの配当だった。スレッドゴールド氏はMUFGについて、「自分で事業を運営しなくても恩恵は得られる。世界に広がるモルガン・スタンレーのネットワークを自行の法人顧客に提供できる。ウィンウィンの関係だ」と話した。

原題:After Four Decades, Japan’s Banks Still Struggle Away From Home(抜粋)

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