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消費増税延期論に市場は二分-衆参同日選の口実づくりとの見方も

  • 延期の確率は50%超えつつある、9月に補正編成も-SMBC日興
  • 増税の影響は織り込み済み、先送り想定せず-三菱UFJ国際投信

消費増税断行か、それとも延期か-。安倍晋三首相の周辺から消費増税の延期論が相次ぐ中、市場関係者の間では意見が二分している。増税の先送りを想定していない関係者が多い一方で、延期の可能性が高まっているとの見方も浮上。衆参同日選に持ち込む口実づくりとの指摘もある。

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは17日付のリポートで、「増税再延期の確率は50%を超えつつある」とし、増税延期に伴う今年度補正予算編成が9月になる可能性にまで踏み込んだ。安倍首相に近い自民党の萩生田光一幹事長代行が4月に続き、16日にも消費増税延期の可能性に言及したからだ。

Japan's PM Shinzo Abe Speaks at The Liberal Democratic Party's Annual Convention

安倍首相

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  森田氏は4月時点では米中協議が妥結に向かっているとのコンセンサスがあり、日経平均も高値圏にあったため、同氏の発言にかなりの唐突感があったが、米中貿易協議の先行き不透明感が強まる中、今回は無視できないという。

  萩生田氏は4月、経済情勢次第で10月の消費増税延期もあり得ると発言。今月16日のロイター通信のインタビューで、消費増税延期の判断を参院選前にするべきだとさらに踏み込んだ。首相の経済ブレーンの1人、本田悦朗・前スイス大使も同社に対し、消費増税は日本発のリーマン級危機を誘発するとして凍結を訴えた。

  JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長は、消費増税の延期は「衆参同日選の口実づくりが狙い」との見方を示す。実際に延期となったら日本株はやや上昇する程度で、長期金利は株高に付き合う形で数ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)くらいスティープ化する程度と予想。財政の健全性にはネガティブでも、日銀による国債買い入れの影響が大きく、日本国債が売り込まれるとは考えにくという。

  SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストも「増税延期と衆参ダブル選挙を見込んでいる。ただ、国会会期を勘案した参院選のタイミングを考えるとまだ増税延期の結論は出せない」と予想している。  

  米中間の貿易摩擦への不透明感を背景に日経平均株価は5月に入り4.5%下げ、17日終値は2万1250円09銭。長期金利はマイナス0.05%前後の横ばいで推移している。内閣府は13日に発表した3月の景気動向指数で、基調判断を6年2カ月ぶりに「悪化」に引き下げた。生産や出荷など4つの指標に関連する鉱工業指数が中国経済の減速などを受けて3月に低下したことが響いた。

  一方で、三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストは17日の電話取材で、市場は消費増税の影響を織り込んでおり、市場関係者の多くは消費増税が先送りされることは想定していないだろうと述べた。増税のタイミングまで5カ月しかなく、政府が軽減税率などの準備を進めている段階であることから、市場では増税は予定通りとの見方が優勢との見解だ。

  政府・与党は予定通り税率を8%から10%へ引き上げる考えを示している。菅義偉官房長官は13日の記者会見で、消費税率は「リーマンショック級の出来事が起こらない限り、今年10月に引き上げる」と従来の方針を強調。増税可能な環境をつくるために追加の経済対策を検討する可能性について問われると「状況を見てさまざまな判断をしていくことは当然だ」と述べた。

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