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増税延期の布石か、憶測呼ぶ首相・エコノミスト懇談-過去2回も

  • 首相はエコノミストの話に真摯に耳を傾けていたと岡三証・愛宕氏
  • 全体的に最低賃金や医療改革など個別分野の話多かったと別の出席者

安倍晋三首相がエコノミストと会合したことで、10月に予定される消費増税を延期するための布石ではないかとの思惑が出ている。

Day Two Of World Economic Forum 2019

安倍首相

Photographer: Jason Alden/Bloomberg

  朝刊各紙の首相動静によると、安倍首相は16日夜、証券エコノミスト4人と約2時間半にわたり懇談した。出席したのは岡三証券の愛宕伸康チーフエコノミスト、クレディ・スイス証券の市川真一チーフマーケットストラテジスト、モルガン・スタンレーMUFG証券のロバート・フェルドマン・シニアアドバイザー、ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストの4人。

  愛宕氏はブルームバーグの電話取材に「アベノミクスについてオープンに話してほしいと言われていた。安倍首相は真摯(しんし)に耳を傾けていた。私からは、景気は今は厳しいが来年に向けて回復していくので、あまり悲観的にならない方がよい、消費増税を延期すると国債格下げのリスクがあると話した」と述べた。

  別の出席者の一人は「全体的に成長戦略、最低賃金や医療改革など個別分野の話が多かった。政府は近く成長戦略を出してくるので、アイディア出しをさせて論点を探っていたのかもしれない」と話した。

  安倍政権は2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた後、二度にわたり10%への引き上げを先送りした。いずれも正式な決定前に、内外の経済学者や市場関係者を招いて増税延期の環境作りを行っており、今回もその一環ではないかとの見方が出ている。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは同日付のリポートで「このタイミングでのこうした会合の開催は、憶測を呼びやすい」と指摘。「ここにきて、再々延期の確率は5割前後まで上昇してきた感が強い」としている。

GDPも判断材料に

  自民党の萩生田光一幹事長代行は16日、経済指標が悪化を示しているとし、日本銀行が7月1日発表する短観を含めあらゆる数字をよく見る必要があるとの考えを示した。同代行は4月にも経済情勢次第で10月の消費増税延期もあり得るとの認識を示していた。3月の景気動向指数では、基調判断が景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」に下方修正された。

  内閣府は20日、1-3月期の実質国内総生産(GDP)を公表する。ブルームバーグがエコノミスト28人を対象に15、16両日実施した調査で、実質GDP成長率が何%になれば、政府が消費増税延期を検討するかを聞いたところ、回答した21人の中央値はマイナス2%だった。エコノミストの予想中央値はマイナス0.3%。

  消費増税を延期する可能性がどの程度あるか聞いたところ、「可能性は低い」と「可能性は非常に低い」を合わせて23人と大勢を占め、「可能性が高い」は5人にとどまった。JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミストは「GDPは過去の経済情勢を映すものなので、本来は判断を大きく左右するものではないが、それでもマイナス成長が確認されれば消費増税延期の検討にも影響するだろう」としている。

  麻生太郎財務相は17日の会見で、消費増税を巡る追加経済対策への対応について、「GDP公表があるので予断を持ってお答えすることは差し替える」と述べた。

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