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パンを1枚焼くトースターに3万円-高級機種に人気、三菱電機も参入

  • 密閉してヒーターで上下両面から焼き上げ、焼きたてパンの食感
  • 高級食パンブームも背景、消費者はおいしいパンへの出費を惜しまず

パンを1枚だけ焼くためのトースターが3万円。新興家電メーカーのバルミューダが2万円を超える製品で切り開いた高級トースター市場に三菱電機が参入した。

  網の上に載せたパンをガラス管のヒーターの熱で焼く一般的な方式のトースターであれば価格は5000円程度で収まる。三菱電が4月25日に発売した「ブレッドオーブン」の店頭予想価格は約6倍の約3万円。

  同社家電製品技術部の岩原明弘部長は高額になった理由について、ふたをする密閉構造にしたことや、ホットプレートのようなフラットなヒーターで上下両面から焼き上げる方式にしたこと、食卓の上に置くことなどを想定し本体が熱くならないよう断熱構造を採用したためだと説明した。

Toshiba_Toaster

三菱電機「ブレッドオーブン」

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  おいしいパンへの出費を惜しまない消費者の動向を踏まえ、炊きあがり方の調整に繊細さが求められる炊飯器製造で培った技術を活用して「おいしいトーストではなく、おいしいパン」を食べられる機器を目指した。水分や香りを閉じ込めて密閉して焼くことで、焼きたてパンのように耳まで柔らかい食感と甘みが出せるのが特徴だという。パンの厚みに合わせた庫内の温度調整も可能。

  高額なトースターを開発しようと考えた背景には、ごはんよりもパンへの支出額を増やすという食生活の変化がある。野村総研の2018年の調査では、朝食にパン派が51%と、49%のごはん派を上回った。

  発端は15年に新商品企画を集めるためのアイデア発表会で女性社員が出した提案。食卓の上に置いてもらうために木目調にしたのも発案した女性のこだわりだ。キッチンに新たな機器を置くスペースはないことが多く、平日は家族がそれぞれ別なタイミングで朝食を食べる「個食」の動きが広がっていることから、1枚焼きで食卓におけるサイズとなった。

社内では抵抗も

  同社営業部の樋口裕晃部長は3万円という価格設定に社内では「いまでも抵抗されている」と話す。まずはテスト販売をと説得して乗り切った。しばらくはネット通販や実演販売が可能な店舗を中心に販売する方針。同社がテスト販売に踏み切るのはこれが初めてだ。

  高級トースターの普及拡大と歩調を合わせるように高級食パンのブームも起きている。日本バタートースト協会の梶田香織代表は、両者のブームの源流は13年にセブン―イレブン・ジャパンが発売した「金の食パン」にあると見ている。スーパーではなくコンビニで発売されたことで男性が買うようになり、「おいしいパンを食べるためにおいしく焼けるトースターも出てきた」と分析している。

  同氏が開催する食べ比べイベント「バタートーストナイト」にも男性の参加者が増えているという。特に高級トースターの場合には、おいしく焼くための機械的な仕組みが男性が関心を高めるきっかけになっているほか、「高いけども買える値段」であることもブームの背景にあると考えている。

  価格比較サイト「価格.com」の4月のデータによると、最も売れ筋のトースターは1万4001円以上の価格帯の商品。全体に占める割合は26%と、第2位の2001-4000円の価格帯(18%)を大きく上回った。

蒸して食べる

  同氏はこれまでもイベントで、焼くのではなく蒸して食べる方法をパンをおいしく食べる方法として推奨していた。三菱電のブレッドオーブンでは、それと同じように仕上がることから、従来型のトースター、水分を補って焼くという考え方のバルミューダに次ぐ「文化を変えるようなトースター」になると予想している。

  約2年前にバルミューダのトースターを購入した大学教授の庄司昌彦さんは、「それまで昔から使っていた普通のトースターを使っていたが、それとは全然違う。もう普通のトースターには戻れない」というほど愛用している。購入後、朝はごはん派だった庄司さんのパンを食べる回数は増えた。

  三菱電のトースターについて「例えばホテルの朝食ビュッフェなどに置かれていたら、ぜひ試してみたいと思う」と話した。三菱電が目指す2台目需要については、「家に同じ路線の2台目の高額なトースターを買おうとは思わない」が、普通のパンがおいしく食べられるなら「勤務している大学の研究室に置いてみるのもいいかな」と語った。

パンを1枚焼くトースターに3万円、三菱電機が発売
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