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Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

トランプ政権の関税政策、交渉の手段ではなく自己目的化の様相も

  • 対中関税などは一段の報復を招き、米国の企業や消費者にも負担
  • 関税を課す方がそれを撤廃するよりも容易という現実指摘の声も
Trucks and forklifts operate as containers sit stacked at the Yangshan Deep Water Port in Shanghai, China, on Tuesday, July 10, 2018. China told companies to boost imports of goods from soybeans to seafood and automobiles from countries other than the U.S. after trade tensions between the world's two biggest economies escalated into a tariff war last week.
Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

トランプ米大統領はかつて自身を「タリフ(関税)マン」と呼んだことがあるほど、関税政策がとても気に入っている。大統領はまた、中国をはじめとする各国からの輸入品に対する制裁関税について、交渉を有利に進める切り札となり、米国に利益となる新たな通商協定に各国を引き込む手段だと繰り返し主張してきた。

  しかし、トランプ政権による関税は、手段というよりそれ自体が最終目標であるかのような様相を呈しつつあり、大統領が約束したいかなる通商協定よりも存在感が濃くなっているように見受けられる。そして、それが米経済および世界経済にとって良くない兆候であるとの見方で、エコノミストは一致する。

President Trump Departs White House For Louisiana

トランプ大統領

Photographer: Al Drago/Bloomberg

  先週には中国製品2000億ドル(約22兆円)相当への追加関税を引き上げ、さらに中国からの輸入品ほぼ全てを関税引き上げの対象とする計画策定を命じることで、トランプ大統領は過去数十年間、目にすることのなかったような規模で輸入関税を導入することになる。比較対象として19世紀までさかのぼってみるエコノミストもいる。自動車・同部品輸入に追加関税を課すかどうか判断を下す期限が18日に迫っており、大統領はさらなる措置も辞さない姿勢だ。

  トランプ大統領は最近のツイートや公の発言で、米国による関税が米経済の成長を促したと繰り返し自賛し、それを負担するのは中国など諸外国だと重ねて主張。ただ、こうした見解は大統領の経済顧問でさえ擁護するのは容易ではないようだ。

  「彼の観点から見れば、真のディールとは米国を食い物にしてきた諸外国に立ち向かうことだ。それは関税賦課を意味する」と、ピーターソン国際経済研究所のゲーリー・ハフバウアー氏はトランプ大統領について語った。

  だが、トランプ政権の関税政策は、中国などから一段の報復を招いている。また、エコノミストはかねて、関税が米国の消費者や企業にコスト高をもたらし、海外の成長にも打撃を及ぼし、ダブルパンチとなって米経済がリセッション(景気後退)に陥りかねないと論じてきた。

  ハフバウアー氏は、関税にはもう一つ考慮に値する現実が浮き彫りとなると指摘する。関税とそれが生み出す既得権益の政治学を考慮すると、関税を課す方がそれを撤廃するよりも容易だというものだ。鉄鋼関税や対中関税を撤回するのはトランプ大統領にとって既に一段と困難になっていると見受けられる。

  ハフバウアー氏はさらに、トランプ氏の後任が誰になろうと、いったん賦課した関税を撤廃するのは難しいだろうと話した。

原題:For ‘Tariff Man’ Trump, Levies Start Looking Like Goal, Not Tool(抜粋)

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