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【コラム】一帯一路「リブート」図る習政権、本質変わらず-シャルマ

  • 中国指導者が次々約束した海外インフラ事業を賄う財源はない
  • 一帯一路は欧米資金の誤った投資先-欧米が手を貸すなら皮肉な話

中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関する2回目の国際協力フォーラムが北京で4月に開催されたが、習近平国家主席の演説に前回ほど勝ち誇った感じはなかった。腐敗を許さないと表明し、インフラプロジェクトではまず環境に配慮することを約束し、中国企業は「質の高い」インフラ事業だけを手掛けると誓ったのだ。

  日本式の海外インフラ協力は質の高いプロジェクトであり、中国とは違うと言ってきた最大のライバルである隣国の言葉を、習主席はあえて用いた。少なくとも表面上、中国政府は一帯一路の実現可能性と動機を巡る国際的な疑念を認識している。

  過去数年間、ことあるごとに一帯一路を売り込んできた中国だが、現代版「シルクロード」とされるこの対外政策が、相手国でどのように受け止められているかや相手国の政治をいかに混乱させるかについてほとんど気にとめなかった。それと比べれば、こうした謙虚さは好ましい。ただ習主席が言葉遣いを変えたことが、一帯一路の手順や方針、原則における本質的な変化につながり、今や外資の安全な投資先だと断定するのは、はなはだ早計だ。

  大きな資金力のある中国とはいえ、指導者が次々と約束した海外インフラ事業の膨大なコストを賄うのに十分な財源はない。今回のフォーラムでは、中国企業による投資が900億ドル(約9兆9000億円)に上ると発表された。巨額にも思えるが、一帯一路全体の事業費から見れば、ごくわずかだ。

  アジアインフラ投資銀行(AIIB)と新開発銀行(BRICS銀行)は計1500億ドル、シルクロード基金が400億ドルを確保。ギャブカル・リサーチによれば、中国企業は国がコントロールする金融セクターからの6000億ドル弱へのアクセスが可能だ。それでも足りないようなら、中国国内の開発計画にも支障が生じるだろう。そうなれば、中国政府は国内を優先すると想定しておくのが無難だ。北京側が一帯一路の「リブート」と外国パートナーの参加を望んでいるという事実は、必ずしも習政権の改心を反映するものではない。

  一帯一路は欧米資金にとって誤った投資先だ。利益を得る機会はあるかもしれないが、全体的に中国企業を利するよう設計されている。中国と共にやっていくということは、銀行や機関投資家が多様な目的のあるプロジェクトに調印することを意味するが、その目的全てが経済的合理性にかなっているわけではない。一帯一路参加は極めて大きなリスクをはらみ、インフラ資金を民間金融で賄う最も合理的なやり方とはかけ離れている。

  一部の欧米諸国に習主席のアピールが魅力的に映るのは驚くことではない。欧米の各国政府や世界銀行などの国際機関は、途上国のインフラ構築への民間金融活用に十分積極的に取り組んでこなかったからだ。これは規制緩和などで変える必要がある。中国政府は自国の資金で覇権争いを制することはできないと知っている。自らがインフラ投資の流れを生み出すこと怠ったという理由だけで、欧米が資金面で中国に手を貸すようなら皮肉な話だ。

  (ミヒル・シャルマ氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。以前はインディアン・エクスプレスやビジネス・スタンダードのコラムニストをしていました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:The World Shouldn’t Help Save the Belt and Road: Mihir Sharma(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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