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Photographer: Tim Rue/Bloomberg

関税合戦が再燃か、今週の米中貿易交渉で想定される4つのシナリオ

  • 劉鶴副首相ら中国代表団が9日からワシントン訪問、貿易交渉再開
  • 米国は10日に中国製品2000億ドル相当への関税を引き上げる方針
The Mediterranean Shipping Co. (MSC) Eloane container ship makes berth at the Port of Los Angeles in Los Angeles, California, U.S., on Wednesday, March 13, 2019. The Eloane is the largest container ship to ever call in the U.S. At 1,312 feet long and 193 feet wide, it can carry 19,500 containers.
Photographer: Tim Rue/Bloomberg

トランプ米大統領が中国製品に対する関税引き上げを警告したことで、今週の米中貿易交渉は緊迫の度を増した。米中の貿易摩擦が深刻化し、世界経済もその渦に巻き込まれるかどうかは、劉鶴副首相率いる中国代表団がワシントンを訪問して行う9日と10日の交渉にかかっている。

President Trump Meets Chinese Vice Premiere Liu He At White House

中国の劉鶴副首相(2019年4月)

撮影:Andrew Harrer / Bloomberg

  交渉結果で想定される主なシナリオは以下の通り。

関税引き上げ、交渉継続

  ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は10日午前0時1分に中国製品2000億ドル(約22兆1300億円)相当に対する輸入関税率を10%から25%引き上げると発言した。一方で交渉継続の意思も示唆している。

  事情に詳しい関係者によると、トランプ大統領が脅しを実行に移す場合に備え、中国は米国からの輸入品に対する報復関税を準備している。とは言え中国側も、交渉の席を離れるつもりはない。

  奇妙な均衡状態と言えるが、それを単に維持する可能性はある。双方とも成長を腰折れさせるほどの長期的で全面的な貿易戦争は望んでいない。2020年11月の米大統領選で再選を狙うトランプ氏にとって、通商合意を成立させる誘因は日に日に増している。

  ワシントンのシンクタンク、Rストリート・インスティチュートの貿易政策専門家、クラーク・パッカード氏は、関税引き上げが今週行われれば「双方とも怒って席を立つ」かもしれないとしつつ、「米中は世界の2大経済国だ。冷却期間を置いて交渉に戻るだろう」と予想した。

関税引き上げ、交渉決裂

  両国がお互いに追加関税をちらつかせる中で、交渉を決裂させることの危険度は間違いなく上昇している。国際通貨基金(IMF)の試算によると、全面的な貿易戦争に至る場合、国内総生産(GDP)成長率は米国が年0.6%、中国が1.5%のマイナス成長となる可能性がある。

  MUFGユニオンバンクのチーフ金融エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「自分が考える最も可能性の高いシナリオは、最終的な解決は当面見られないというものだ」と指摘し、「交渉では一方の国に運営方法の変更を迫っている。米国に資本主義をやめろと言っているようなものだ」と語った。

関税引き上げの延期

  合計3600億ドル相当の製品に追加関税を課し合った米中は、昨年12月1日から関税引き上げを保留している。金融当局が姿勢をハト派寄りに移したこともあり、この関税合戦の休戦は米国株の上昇を後押しした。トランプ大統領は上昇相場を終わらせたくないはずだ。交渉が前向きな展開を見せれば、関税引き上げを延期する可能性がまだあるかもしれない。

  レイモンド・ジェームズ・アソシエーツの米政治担当マネジングディレクター、エド・ミルズ氏は「今週の基本シナリオは、関税引き上げを延期する方策を米中が見いだすというものだ」と述べた。

原則合意

  関税引き上げを警告する前、トランプ大統領は中国との通商合意に楽観的な見方を示していた。大統領がその気になるなら原則合意は意外に早く達成される可能性があり、恐らく習近平国家主席との電話会議を経て決まるだろう。

  ただ、その場合でも最終的な承認にはトランプ氏と習氏の直接会談が必要になる公算が大きい。合意が署名された後も、貿易不均衡の是正に成功したかどうかを見極めるには数年を要する。敵対関係が再燃する恐れはそう簡単に消えることはないだろう。

  レイモンド・ジェームズのミルズ氏は「より大きな疑問は、果たして合意が可能なのか、その合意は持続できるのかだ。そこに常に疑問符が付く」と指摘する。

原題:Tariff War Renewed? How U.S.-China Talks Could Play Out (1)(抜粋)

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