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【コラム】建機示す中国景気の実態、世界経済引っ張れず-トリベディ

  • キャタピラーや日立建機に中国勢ほどの勢いはない
  • 最近の中国経済持ち直しを支えているのは予算に計上されない資金

中国経済が数カ月に及ぶ低迷から持ち直しつつあるようで、世界に安心感が広がっている。確かに国内総生産(GDP)統計は底堅さを示した。だが、回復の足取りは見掛けほどしっかりしていない。インフラ投資・需要のバロメーターと見なされている建設機械メーカーを取り巻く状況を見れば分かる。

  中国の国内掘削機販売が1-3月(第1四半期)に24%増える中で、三一重工中聯重科の中国2社はいずれも力強い販売を記録。幾つかの中国メーカーは今年の需要が最大20%伸びると予想している。

  ただ米キャタピラー日立建機など外国勢に同じ勢いはない。両社共に中国販売は精彩を欠き、弱気な見通しを示している。日立建機は油圧掘削機販売における下方トレンド要因として中国を挙げた。日用品・工業品メーカーの米3Mは4月25日発表した1-3月期決算での売上高減少の理由は中国だと説明。同日の3M株は13%安となった。

Ride the Wave

China's construction machinery makers have been on a tear since Beijing's stimulus this year

Source: Bloomberg

  なぜ明暗が分かれたのか。中国が打ち出した直近の刺激策はそもそも国内向けで、対象を絞り込んでいる。そして最近の成長モメンタムを大きく支えているのが、予算に計上されない資金だ。1-3月期の特別債発行は約6660億元(約11兆円)で、すでに昨年1年間の半分程度に膨張。一方で当局は出費を抑制しており、コマツと日立建機は3月に行った中国に関するアナリスト向け説明会で、地方政府からの支払い遅延ときつめのファイナンス環境を課題として取り上げた。

  刺激策の効果自体も迫力に欠ける。1-3月の500億ドル(約5兆5000億円)減税と家電・自動車向けの消費喚起策は目立った変化につながっていない。こうした対策は旧来型刺激策の単なる焼き直しで、大半の指標によれば、基調的需要は引き続き弱い。

Dashed Hopes

Investors hoped that foreign machinery makers would ride the stimulus wave, but that isn't happening

Source: Bloomberg

  中国の成長持続のために、そして世界経済を押し上げる十分な強さの成長になるには、企業と家計が財布のひもを緩める必要があるが、企業が支出・再投資を進める兆しは乏しい。ゴールドマン・サックス・グループによると、GDPにおける消費の寄与はデータ開始後の最低水準が続いている。
 
  一見すると利益の助けになりそうな減税だが、信頼感の危機を拭い去ることはないだろう。誰も買わないエアコンを増産しても何の役にも立たない。与信環境は依然として広範な回復支援に十分なほど緩和的ではなく、銀行は確信を持てないままだ。

Can't Lift 'Em All

Foreign machinery makers' sales growth of larger excavators have lagged that of Sany's in recent months

Source: Nomura

  こうした背景が、外国企業の業績と世界経済を浮揚させる中国の力を小さくしている。韓国の1-3月GDPは前期比0.3%減と、過去10年で最悪のマイナス成長だった。最近落ち込んでいるドイツ製造業と同じように、韓国の不振はある程度、国内要因によるものだが、悪化した製造業と建設業は全般的に中国の工業需要が支えだ。

  何らかの環境が変わるまで、中国は世界経済のけん引力にはなり得ないという考え方に投資家は慣れる必要がある。あまりにも多くの難題を国内に抱えているのが中国だ。

  (アンジャニ・トリベディ氏はアジアの工業セクターの企業を担当するブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。以前は米紙ウォールストリート・ジャーナルの仕事をしていました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Why China Won’t Pull the World Up With It: Anjani Trivedi(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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