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Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

地銀の株価に下押し圧力、株主還元策に「待った」ー過小資本を警戒

  • 自己資本比率低下に安定配当重視が影響ー金融システムリポート
  • 株主還元抑制されれば配当利回りの高い銀行株魅力薄れるードイツ証
Commercial buildings and hotels stand in Morioka, Iwate Prefecture, Japan, on Monday, Feb. 5, 2018. The Bank of Japan's tight grip on the nation's bond market is making local debt appear as an oasis of calm amid global turmoil.
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

収益性悪化にあえぐ地方銀行がさらなるリスクに直面している。日本銀行は17日に公表した金融システムリポートで、自己資本比率の維持の観点から株主還元の在り方に注意を払うよう地銀に迫った。安定配当で投資家をつなぎ留めてきた一部の地銀にとっては市場へのアピールを失うことにつながりかねない。

  日銀は同リポートで、地銀の自己資本比率低下には「収益が配当や自己株式取得を通じて社外へ流出する」との収益配分の在り方が影響していると指摘。安定配当を重視した結果、収益性低下にもかかわらず配当性向が切り上がる例も見られることから、「資本政策の決定に際しては、資本の効率性と同時に、資本の十分性にも適切に注意を払う必要がある」と株主還元の在り方に苦言を呈した。

  SBI証券によると、2018年4-6月期時点で上場地銀51社が減益予想だったにもかかわらず、うち45社は配当を維持するとしていた。同証券の鮫島豊喜シニアアナリストは「減配に踏み切らずに踏ん張っているのは株価を支えるため」と述べた上で、実際に配当性向を見直した場合には銀行の株価にとって「下押し圧力になる」との見方を示した。

減配せずに踏ん張る

地銀等の配当性向は上昇傾向

Source: 時価総額1兆円以下の銀行を対象にブルームバーグデータが算出

備考: 年度末における配当性向の平均

  既に金融庁は、今月公表した地域金融機関向け早期警戒制度の運用変更で、経営計画に掲げた純利益や配当を維持するために含み損の処理を先送りして、多額の含み損を抱える状況に陥ってしまわないか新たに監督する方針を示している。

  これを受け、SMBC日興証券は15日付のリポートで、金融庁は過小資本の恐れがある地銀に対して業務改善命令などを発していく方針で、その結果として中小行への減配指導の増加が予想されると指摘した。

低迷する銀行セクターの株価

  ドイツ証券の山田能伸シニアアナリストは、銀行株の魅力の一つは配当利回りの高さであり、それが個人投資家をつなぎ留めている面もあると指摘。株主還元が抑制されると「地銀株の魅力は減るだろう」との見方を示した。

  その上で、本来は配当を決めるのは市場や経営陣であるはずだが、金融庁や日銀のリポートの背景には、「当局に厳しい問題意識があり、それを理解してくれない経営陣へのいら立ち」があると語った。

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