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【コラム】中国の成長物語、目凝らせば穴だらけ

  • 与信急拡大が示唆するのはシャドーバンキングの活発化
  • 減税分をためるか消費に回すのか、決めるのは借金を抱える一般世帯
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Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
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中国の経済成長率が6%を上回り続けていることから、景気持ち直しだと早速断定したアナリストもいる。中国政府が売り込もうとしているのは、年初来での本土株大幅高や与信の急拡大、消費者向けの減税に支えられ、安定成長が続いているとの物語だ。

  幾つかの公式統計はこのセオリーを支えているようだ。1-3月の国内総生産(GDP)は前年同期比6.4%増加。3月だけ見ると小売売上高は前年同月比8.7%増加し、工業生産は同8.5%増だ。だがニュースのヘッドラインを飾るこうしたデータも掘り下げれば、別の話が見えてくる。

  中国当局が市場に与信をあふれさせ、社会全体のファイナンスは今年4割ほど拡大しているが、それが示唆するのは銀行のみならずシャドーバンキング(影の銀行)も活発化しているということだ。1-3月の固定資産投資が前年同期比でわずか6%程度の伸びにとどまっていることから、実体経済を支える分野に融資が向かっていないことが見て取れる。企業の借金返済も進んでいない。

  消費者サイドもましには見えない。すでに2018年から前年割れが続いた自動車市場だが、今年1-3月の新車販売台数も11%減少。携帯電話出荷も同四半期に12%落ち込んだ。一般世帯は明らかに金欠だ。フードデリバリーアプリを通じた出前の注文が減り、映画館の興行収入も落ちている。ただクレジットカードの利用は増え、昨年10-12月の残高が前年同期比で23%拡大した。家計支出が18年に15%近く増えたことを調査が示す一方で、余裕はほとんどない。今年1-2月のエアコン生産は1%減、洗濯機は7%減少した。

  中国政府は成長を支えようと、財政による刺激策や与信拡大、債務再編、消費者重視の税制優遇措置などお決まりのさまざまな対策を打ち出しているが、そのどれにしても効果があるかどうかは疑わしい。財政支援はそれだけでは機能しないし、減税分をためるか消費に回すのか決めるのは借金を抱える一般世帯だ。高水準の家計債務を考えれば、消費喚起効果は政府が望むよりずっと小さいそうだ。

  中国政府は昨年まで特定の数値を経済成長率目標として掲げてきたが、今年はそうしたやり方を改め、「6-6.5%」とレンジで目標を設定。だがそれさえも達成できないかもしれない。債務と過剰生産能力という重荷を抱える経済の実質成長率を6%台に維持しようとする試みは、数年前のように対GDP比2-3%という経常黒字に頼ることができない今となっては、単純に非現実的だ。中国政府に何より必要なのは、自らに課している期待のリセットだろう。

  (クリストファー・ボールディング氏は深圳にある北京大学HSBCビジネススクール=PHBS=の元准教授です。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:China’s Growth Story Has Plenty of Holes: Christopher Balding(抜粋)

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