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Jディスプが台中連合傘下へ、新株発行などで800億円調達

更新日時
  • 台湾と中国の3者が引き受け、合計持株比率は49.8%
  • INCJは貸し付けを優先株式750億円と長期シニアローン770億円に

ジャパンディスプレイ(JDI)は、台湾の電子部品メーカーなどで構成される企業連合から800億円の資本を受け入れると発表した。運転資金や研究開発費に使う。業績悪化により、現預金が急速に減少していた。

  発表によると、台湾電子部品の宸鴻光電科技(TPK)や富邦グループ創業家の投資ファンド、中国ファンドの嘉実基金管理グループの3者が新株と転換社債を引き受け、合計の持株比率は49.8%になる。筆頭株主だったINCJ(旧産業革新機構)は従来の貸し付けを転換型優先株式750億円と長期シニアローン770億円に切り替える。持株比率は従来の25.3%から12.7%に低下する。

  TPKとは液晶ディスプレーで、嘉実基金管理グループとは蒸着方式の有機EL(OLED)の量産に向け業務提携する。出資は国内外の関係当局の許可を得ることが前提だ。

調達した資金の使途

運転資金380億円
研究開発費用 92億円
設備投資320億円

  会見した月崎義幸社長は、国内拠点の統廃合や海外での有機EL生産を視野に入れていると説明。業績不振から出資を受け入れ、「経営者として重くとらえている」と話した。今後の経営体制については、「協議中」として明言を避けた。

  JDIは最大顧客の米アップル不振の影響を受け、2019年3月期で5期連続の純損失を計上する見込み。昨年12月末の現預金は544億円と同3月末の809億円から大幅に減少し、自己資本比率は15.1%まで低下した。経営再建に向け外部資本を受け入れる方向で複数社と交渉中だった。

赤字が常態化

出所:ジャパンディスプレイ

注:18年度は純損失予測の規模は未公表

  車載向け商品の拡大を進めているものの、売上高の過半を占めるアップルの業績に左右される収益構造から脱却できていない。アップルがiPhone(アイフォーン)で移行を進める薄くて軽い有機ELの量産化には大規模投資が必要で、財務改善が急務となっていた。

  いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「JDIの扱う液晶は国策として取り組むような最先端のものではなく、外資の傘下入りは必然だった」と指摘。ただ、台中企業の傘下に入ることで収益性の改善は見込めるとみており、今後の日本の産業は「INCJが最先端技術に投資し、それを育てていくような土壌作りが大事になる」と述べた。

  JDIは12年、官民ファンドINCJが主導して日立製作所、東芝、ソニーの液晶パネル部門が統合し発足。14年の上場後も収益は安定せず、人員削減など構造改革を行った18年3月期には約2500億円の純損失となった。上場時に900円だった株価は、昨年12月には50円まで下落した。株式25%を持つ筆頭株主のINCJは発足当初から数回にわたって支援を続けているが、赤字が常態化している。

INCJなどからの支援内容
12年 INCJが発足時に2000億円出資
16年 INCJが転換社債や融資で750億円支援
17年 INCJが主要行による1070億円の融資枠を債務保証(継続中)
18年 INCJが200億円を融資
 海外投資家などを引受先に350億円の第三者割当増資

  INCJを所管する世耕弘成経済産業相は3日の衆院経済産業委員会で「設立当初と思惑がだいぶ違ってきた面はある」と認めた。韓国勢が有機ELに参入したほか、液晶の分野では中国勢の技術力が向上。多額の投資競争が発生した結果、「非常に激しい価格競争が起こるなど競争環境が激変した」という。

  一方、INCJは8日、JDIも出資する有機ELディスプレーメーカーのJOLED(ジェイオーレッド、東京・千代田区)に200億円を追加出資したと発表した。出資比率(議決権ベース)は36.1%になる。ソニーとNISSHAも計55億円を出資する。

  調達資金の一部は、JOLEDが20年の量産開始を目指す世界初の印刷方式有機ELディスプレー量産ラインの設備投資に充てる。印刷方式は、従来の蒸着方式に比べ多くの種類の製品の生産が可能で、INCJは「国内の材料・ディスプレイ・最終セット製品メーカーという業界全体の競争力強化にもつながるものと考えており、今後も引き続きJOLEDの事業展開を支援していく」としている。

Views Of A Japan Display Plant Ahead Of IPO

Jディスプは5期連続の純損失の見込み

(会見での発言を追加しました.)
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