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ミネベアミツミ社長、M&Aで「技術と人を一夜に」-3000億円規模も

  • ユーシン買収で自動車分野を強化、医療・住宅分野も拡大の方針
  • ミツミ統合後はアップルや任天堂向けで存在感、売上高は過去最高

米アップルや任天堂に部品を供給するミネベアミツミの貝沼由久会長兼社長は、過去10年で17社のM&A(合併・買収)を陣頭指揮してきた。この中で最大案件はミツミ電機の約550億円。しかし、現在は1案件当たり「3000億円ぐらいまでなら」可能だとさらに意欲を示す。

  貝沼社長は1日のインタビューでM&Aについて、自動運転やIoT(モノのインターネット)、次世代通信システム(5G)で技術革新が進む中、部品や製品を供給する「インダストリーを増やしていく」と述べた。株式公開買い付け(TOB)が10日に終了したユーシンの買収で自動車分野を強化するほか、医療・住宅分野も拡大したい意向だ。

Minebea Mitsumi CEO Yoshihisa Kainuma Interview

貝沼会長兼社長

Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  ベアリングやモーターなど旧ミネベアの中核事業に加え、17年のミツミ統合後はゲーム機向け部品でも存在感を高めてきた。アップルのiPhone(アイフォーン)向けLEDバックライトや任天堂「スイッチ」向けの需要拡大で、2018年3月期の売上高は8791億円と過去最高を更新した。

M&Aが成長の源泉に

出所:ミネベアミツミ

2017年度からIFRS、19年度以降は会社推定

  1日に就任10年を迎えた貝沼社長は、ハーバード大学ロースクール出身の国際弁護士だったが、ミネベアの社長や会長を歴任した義父の高橋高見氏の招きで1988年にミネベアに入社した。「もともと法律家で交渉好き」を自負し、M&A交渉の先頭に立った。これまでの現地視察は100社に上り、買収先企業を見る目を養ってきた。

  日タイ・ビジネスフォーラムの企画委員会委員長で、貝沼社長と20年以上の親交を持つ小山光俊氏は「若いころから製造現場に足を運び、人の意見を聞き、地道に努力していた」と人物像を語る。「常に会社の将来を見据え、戦略的に考えており、最近のM&Aも一つ一つに意味合いがある」との認識を示す。

  貝沼社長は今後、自動車関連など安定的なビジネスで収益基盤を固める一方で、取引先に左右されやすいスマホやゲーム関連分野でも利益を追求していきたい考えを示した。「製品として強固で、簡単になくならないものをどうプロデュースしていくか」が課題だとし、他社にまねできない独自製品を開発する方針だ。

  ただ、事業別の営業利益率は、ベアリングなど機械加工事業で25%程度あるものの、電子部品など他の事業はその半分以下。SBI証券の和泉美治シニアアナリストは「不十分な水準だ」と指摘し、買収した事業で利益率を徐々に引き上げ、結果として「利益の絶対額を上げていく」ことが求められるとみている。

  同社では20年3月期の売上高目標を1兆円としている。社長就任時から4倍強の水準だ。このうち約5000億円は企業買収による増加分が占めるという。貝沼社長はM&Aにより「時間、歴史、技術、人。全てを一夜に手の中に収めることができる」とし、この先10年も「もっと重要な位置を占める」と語った。

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