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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

社会的インパクト投資、前年度比5倍に-野村AMや第一生命参入

  • 18年度の国内市場規模3440億円、地方自治体も活用に乗り出す
  • SIBは2件から10件へ、普及には仕組みづくり必要との声も
Commuters cross a road in Tokyo, Japan, on Friday, March 22, 2019. Japan's Ministry of Internal Affairs and Communications will release jobs date on March 29.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

金銭的リターンだけでなく、社会や環境へのインパクトを意図した「社会的インパクト投資」の市場規模が日本でも急速に拡大している。個人投資家向け商品を開発した野村アセットマネジメントがけん引役となっており、第一生命保険など機関投資家の裾野も広がっている。

  国際的な推進団体GSGの国内諮問委員会が8日発表した調査結果によると、社会的インパクト投資の国内市場規模は2018年度に前年度比5倍の3440億円に膨らんだ。大手金融機関だけでなく、同投資手法を活用して社会保障費抑制を目指す地方自治体も増えている。世界の市場規模は20年には3070億ドル(約34兆3000億円)と、18年公表分の2281億ドルから大幅な増加が見込まれている。

社会的インパクト投資の市場規模

18年度は前年比5倍の3440億円

出所:GSG国内諮問委員会(単位:億円)

  18年10月に設定された野村アセットマネジメントの投資信託「野村ACI先進医療インパクト投資」は、足元で1800億円近くまで残高が積み上がっている。17年度から市場参入した第一生命は、これまでに未上場企業8社に計25億円を出資した。

  諮問委の事務局を務める社会的投資推進財団の工藤七子常務理事は、「社会的インパクト投資が金融プロダクトとして認知され、メインストリームのプレーヤーがポートフォリオに入れてくれるようになったのが大きな変化」と述べた。三井住友銀行が環境や社会面に配慮した事業に限定した持続可能な開発目標(SDGs)ローンを拡充しており、「デッドファイナンスの領域は今後増える兆しがある」と言う。

  自治体も同投資の活用に乗り出している。神奈川県は未病・先端医療産業に投資する12億円規模の「ヘルスケア・ニュー・フロンティア・ファンド」を組成した。自治体から委託された民間事業者が投資家の資金を元手に社会課題を解決する成果連動型の民間委託事業「ソーシャルインパクトボンド(SIB)」の案件も昨年の2件から10件に増加。広島県は「がん検診の受診率向上」、多摩市は「糖尿病の重症化予防」を目的に新たに導入した。

  工藤氏によると、豊中市が「禁煙」、福岡市は「薬剤処方の適正化」を目的にSIB組成を準備しており、「今年は3、4件出てくる」とみる。この投資手法は評価指標の設定が重要な鍵となるため、広く普及させるには、国がガイドラインを作り評価指標のサンプルを公開するなどして、幅広い自治体が活用できるような仕組みを作る必要があるとしている。

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