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【コラム】「一帯一路」が広がるほど中国の存在感が薄れる-ゴパラン

  • 世界で通用する通貨はドル-中国に無制限のドル供給はできない
  • 道が広がるほど、押し寄せるドライバーも増える

中国の習近平国家主席が進める広域経済圏構想「一帯一路」へのイタリアの参加で、他の主要7カ国(G7)メンバーは中国の勢力拡大に対する警戒感を強めた。だが、一帯一路が広がるにつれ、中国の存在感が薄れていくことになる。

  一帯一路の資金調達で今、極めて大きな役割を担っているのが中国の国家開発銀行や中国輸出入銀行といった政策銀行だ。400億ドル(約4兆4600億円)規模の国家ファンド「シルクロード基金」と中国主導で設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)も貢献している。

  近く世界的な銀行もこれに加わる可能性がある。スタンダードチャータードは一帯一路のプロジェクトに今後数年で最大200億ドルを割り当てる計画を明らかにした。ただそれでもナイロビやロッテルダムなど世界各地の都市と中国を結ぶという野心的な大事業が必要としている1兆ドルと比べれば、ほんのわずかな額だ。今後はグローバル展開している競争相手の参加がさらに増えるだろう。

Softly, Softly

After rising for four years, Chinese-led new contracts and direct investments in Belt and Road countries declined in 2017

Source: Moody's Investors Service

Note: The data for 2018 is for the six months to June 30. Moody's looked at both direct investments and the value of contracts to gauge Chinese-led contract value.

  世界の建設業界で通用する通貨はドルだが、中国政府がドルを無制限に供給することはできない。中国の国内経済が鈍化し、経常収支も赤字に向かう中で、資金の流れはかつてほど自由ではない。ベーカーマッケンジーのプロジェクトグループでアジア太平洋責任者を務めるマーティン・デービッド氏は、国際的な銀行による一帯一路への関与拡大が不可避だと分析。「中国の銀行マネーは無限ではない」ためだ。

  一帯一路の資金調達ネットワークが拡大すれば、中国の銀行のみならず建設会社もまた競争激化に直面し、これまでであれば保証されていた受注を失うかもしれない。海外事業で現地の労働力を使わず、本国から作業員を連れてくる傾向のある中国企業に対し、欧州連合(EU)欧州委員会のユンケル委員長は「工事現場に中国人労働者だけでなく欧州の働き手もいる」限りにおいて中国のプロジェクトに反対しないと条件を突き付けた。

  対照的に多国籍の銀行は、特定の建設会社を優遇し仕事を与えることを禁じる厳格な調達ルールに従っているとシティグループは指摘する。AIIBでさえそうだという。 

Outward Bound

Sinoma International, or Sinopac, made as much as 81 percent of its revenue from overseas markets in 2017

Source: CICC Research

  融資調達先の多様化は、借り手にとっては良いことだ。中国のファイナンスにおける一帯一路の関係国向けの加重平均金利は3.5-5%。スリランカやパキスタンなどの国での借入金利は6%にも達し得る。借り入れコストの高さもありマレーシアのマハティール首相は昨年の就任後、マレー半島での東海岸鉄道計画(ECRL)に待ったをかけた。200億ドル規模のECRLは一帯一路における最大級のプロジェクトだ。

  ベーカーマッケンジーがまとめた中国政府の発表に基づくと、ここ3年間に一帯一路の関係国での1700件近いプロジェクトに国有企業50社が投資もしくは参加した。この道が広がれば広がるほど、押し寄せるドライバーも増えることになる。

  (ニシャ・ゴパラン氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、企業の合併・買収や銀行業を担当しています。以前はウォールストリート・ジャーナルとダウ・ジョーンズでエディターや記者として働いていました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Belt and Road Without China? Yes, It’s Possible: Nisha Gopalan(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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