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Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

東京素通りだったヘッジファンドに回帰の兆し-都の支援も呼び水に

  • 都が新興資産運用業者の独立や運営を支援、市場回復も後押し
  • 高い法人税はファンドビジネスの足かせ-運用者が指摘
Buildings stand in the Shinjuku district of Tokyo, Japan.
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

ヘッジファンド業界で近年素通りされてきた東京に、運用者が回帰する兆しが見え始めている。税制や規制面で有利なシンガポールや香港といったアジアの金融都市へ流出が続いてきたが、国際金融センターとして復活を目指す東京に拠点を構える動きが出始めた。

  「国際金融都市構想を掲げる東京都のプロモーションが理由の一つになっている」と、運用コンサルティング会社タスク・アドバイザーズの眞保二朗社長は話した。東京都は、創業期の資産運用業者(EM)育成のため補助金を用意、セミナーの開催などプロモーションを展開した。こうした政策支援もあって17年に2社だったファンドの設立件数は、18年から19年2月までに6件と増えている。

小池百合子知事は昨年12月、ブルームバーグの「The Year Ahead」サミットで、国際金融都市構想について話した。

Source: Bloomberg)

  野村ホールディングス・キャピタルイントロダクション部門のダン・マクニコラス氏は東京都の誘致施策に加え、日本の新興ヘッジファンドには「国内の投資機会を追求して資金を集める能力がある」と話す。また、13年以降のコーポレートガバナンス(企業統治)改革や市場回復などで海外投資家の関心が集まり資金拠出しやすくなったことも、運用者のファンド設立を後押しした。

  元三井住友銀行副頭取の高橋精一郎氏らが設立したホークスブリッジ・キャピタルは数百億円を集め昨年12月に運用を開始。ゴールドマン・サックスやミレニアム・マネジメントで経験を積んだ志田隆氏が昨年9月に運用を開始した恵比寿キャピタルもカナダ年金投資委員会から数百億円を受託した。シンガポールの調査会社、ユーリカヘッジによると日本のヘッジファンドの運用開始額は平均790万ドル(約8億9000万円)とされるが、両ファンドの規模はそれを大きく上回る。

東京の機動性

  昨年5月に運用開始したシュバイツェル・インベストメントの高津稔氏は、東京を拠点に選んだ決定的な理由として「企業訪問や証券会社のアナリストに機動的に会えること」を挙げた。投資家にヘッジファンド設立を相談した際には、海外から中小型株の運用ができるのかという指摘も受けたという。

  恵比寿キャピタルの志田CIOも「日本企業をリサーチする上では、海外から年数回帰ってくるよりは、日本に居たほうががいい」と話す。また、東京は「オフィス、システム投資などの起業コストはシンガポールや香港より安い」という。

  眞保氏はファンドの東京回帰の流れについて「雰囲気がポジティブになっており、今後もしばらくは続くのではないか」とみる。その上で、日本市場が株主寄りに変革する中で投資先との対話を重視する「エンゲージメントファンドなどには設立好機となる可能性がある」とした。

  恵比寿キャピタルの志田氏は日本の課題として「法人税が高く、ファンドビジネスを経営する上では難しい」点を挙げた。東京都の施策については「運用業界を盛り上げるという意味では非常に意義がある」と指摘。シュバイツェルの高津氏も「補助金でコストの一部を賄える点は新興運用業者には魅力」と話した。両社は東京都のEM育成プログラムの運用資金は受託していない。

  昨年1月以降に登録されたヘッジファンドは次の通り。

登録月会社名代表者業務種別
18年3月シュバイツェル・
インベストメント
高津稔氏投資運用業
(機関投資家向け)
18年5月恵比寿キャピタル志田隆氏投資運用業
18年6月武士道アセット
マネジメント
杉山賢次氏投資運用業
(機関投資家向け)
18年7月Blue Swell 
Japan
小田智文氏投資助言・代理業
18年10月ホークスブリッジ・
キャピタル
高橋精一郎氏投資運用業
19年2月Red Phoenix 
Investments
橋本雅彦氏投資運用業
(機関投資家向け)
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