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マイナス金利の深掘りはハイリスク依存を招くー全銀協の高島新会長

  • 資金需要がモーゲージやアパートローンなど特定セクターに偏る
  • 「テーマが山積する環境」での会長就任ー身が引き締まる思い

全国銀行協会会長に1日付で就任した高島誠氏(三井住友銀行頭取)は、導入から4年目を迎える日本銀行のマイナス金利政策について、深掘りをすると金融機関がリスクに依存しやすい環境になるとして、日銀に「細心の検討の上、総合的な判断を」お願いしたいと述べた。

  高島氏は3月15日のインタビューで、マイナス金利政策の成果は貸出金利低下などで「十分刈り取られた」とした上で、同政策の長期化により金融機関の運用環境が厳しくなっており、「金利マーケットがゆがむ」など副作用が大きくなっているとの認識を示した。

Sumitomo Mitsui Banking Corporation's (SMBC) New President Makoto Takashima Interview

高島氏

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  具体的には、モーゲージ(不動産を担保とした貸し付け)やアパートローンなど特定セクターに資金需要が偏ってきているほか、銀行が外債やローン担保証券(CLO)など市場運用部門に頼るなど、「過大なリスクテークや集中リスク」が生じやすい環境と指摘。マイナス金利政策の深掘りは、さらにハイリスクな投資対象への依存を招くことになるとして、日本経済にプラス効果があるかも含め検討の余地があると語った。

  日銀は2013年4月、黒田東彦総裁の下で、約2年を念頭に2%の物価目標の達成を目指すとして異次元緩和を開始。累次の追加緩和を行ったが、足元の物価上昇率は1%に満たず目標は遠い。達成時期は6回先送りされ、昨年4月に公表自体を取りやめた。

  景気後退局面で日銀が取り得る政策として挙げられているマイナス金利での貸し出しについても、資金循環の観点から「有効な追加策と言えるかは疑問」との見方を示した。高島氏は、日銀とはこれまでも対話を重ねてきており、改めて機会を設けることは考えていないものの、副作用についての懸念表明は継続すると語った。

ローン担保証券

  金融機関の一部が保有を増やしているCLOについて高島氏は、「ある種の集中リスク的なものが起きている可能性がある」として状況を注視する必要があるとコメント。ただ、運用や投資戦略は個別行の経営判断であることから、全銀協として注意喚起をするかなどは、「必要性があるかも含めてよく見たいと思う」と述べるにとどめた。

  会長就任に当たり、高島氏は「テーマが山積する環境」での会長就任は身が引き締まる思いと話す。国内銀行は構造改革の過渡期にあるほか、秋にはマネーロンダリング(資金洗浄)対策を推進する政府間機関である金融活動作業部会(FATF)による審査が予定されている。資金洗浄対策では、すでに複数の金融機関が窓口での現金による海外送金受け付けを停止したり、家族関係の証明書提示を求めたりするなどの強化策を発表している。

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