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日銀短観、景況感は悪化-世界的な景気減速への懸念で

更新日時
  • 大企業・製造業がプラス12と前回調査から7ポイント悪化
  • 非製造業はプラス21と3ポイント悪化-為替想定は108円87銭
Pedestrians cross a road under cherry trees in bloom in Tokyo's business district, Japan. 

Pedestrians cross a road under cherry trees in bloom in Tokyo's business district, Japan. 

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
Pedestrians cross a road under cherry trees in bloom in Tokyo's business district, Japan. 
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

日本銀行が四半期ごとに実施している企業短期経済観測調査(短観)の3月調査で、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス12と、昨年12月の前回調査から7ポイント悪化した。悪化は2四半期ぶりで、悪化幅は2012年12月調査(9ポイント悪化)以来6年3カ月ぶりの大きさ。世界的な景気減速への懸念が景況感を下押しした。

キーポイント

  • 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス12と前回調査から7ポイント悪化ーブルームバーグ調査の予想はプラス13
  • 非製造業はプラス21と3ポイント悪化-予想はプラス22
  • 先行きは製造業がプラス8、非製造業はプラス20と悪化を見込む
  • 大企業全産業の19年度の設備投資計画は前年度比1.2%増-予想は0.7%増
  • 19年度の為替想定は1ドル=108円87銭と前回(109円41銭)から円高方向に設定

         

景況感の動き

エコノミストの見方

第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト:

  • 景況感は製造業中心に悪化し、悪化幅もかなり大きかった。足元で景気が下振れ気味に推移していることが示された
  • 一方で、19年度の設備投資計画は良くも悪くもなく、まずまずだった。今のところ企業が一気に慎重姿勢を強め、設備投資を手控える方向に動いているわけではないことが示された。日銀としてもホッと一息つけるところだろう
  • ただ、外需が下振れを続けているため、遅行指数である設備投資が今後落ちてくる可能性があり、まだ安心できるところまでは行っていない
  • 非製造の景況感は多少悪化したものの水準はまだ高いため、日銀としては内需はしっかりしていると判断しよう
  • 今回の短観は良くはないが、日銀のシナリオを大きく変える内容ではなく、従って金融政策にもとりあえず大きな影響はないだろう

            
みずほ総合研究所経済調査部の酒井才介主任エコノミスト:

  • 中国経済の減速に伴う影響が企業の想定以上に大きかった。長引いている世界的IT市況の調整も尾を引いた
  • 製造業の悪化業種を見ると、汎用機械や電気機械などは事前に見込まれていた通り。中国経済の減速やIT需要の低迷を受けて輸出企業中心に比較的大きい悪化幅で出た。素材も中国経済減速に伴う需要減で非鉄や化学なども悪化している
  • 想定為替レートは108円台と、18年度対比で1円近く円高に設定されている。その辺も業況感を下押しした可能性がある
  • 設備投資は18年度よりは鈍化しているが、例年対比で見ると悪くない水準。引き続き全体としてみれば底堅い

SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミスト(発表後のリポート):

  • 景況感の悪化を受けて、消費増税の延期の議論が高まる可能性がある
  • 景気後退の分岐点となる0にはまだ幅があり、景気は減速しつつも緩やかに回復している状況と言える。現時点では増税延期よりも増税に向けての追加景気対策ではないかと思われる
  • ただ、今年は選挙が2回あるため、選挙結果により政策が変わり得る。特に4月の統一地方選挙で与党が大敗を喫するような場合、消費増税延期に切り替え、国民の信を問うため、衆議院解散(衆参ダブル選挙)に打って出る可能性もある

詳細

  • 大企業製造業では海外経済の減速、IT関連、設備投資関連の需要減退を指摘する声があった-日銀担当者
  • 大企業非製造業では国内の自動車販売の堅調さ、災害からの復興関連の建設、オリンピック関連の需要を指摘する声があった-日銀

背景

  • 日銀は3月の金融政策決定会合で、景気は「緩やかに拡大している」との見方は維持したが、「輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられる」との文言を加え総括判断を下方修正
  • 政府も同月の月例経済報告で、「景気は緩やかに回復している」との基調判断は維持しつつ、「このところ輸出や生産の一部に弱さも見られる」との表現を加え、総括判断を2016年3月以来3年ぶりに下方修正した
  • 3月の金融政策決定会合の主な意見によると、「海外経済動向や消費税率引き上げの影響次第では、景気後退への動きが強まっていく可能性があり、懸念される」と懸念の声も上がった
(詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新します.)
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