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Photographer: Kiyoshi Ota

第一三共、アストラゼネカとがん治療薬で提携

更新日時
  • 第一三共は契約一時金13.5億ドル受領、進捗次第で最大55.5億ドル
  • 開発や販売費用は両社で折半へ-第一三共の今期業績への影響は軽微
The Daiichi Sankyo Co. headquarters stands in Tokyo, Japan.
Photographer: Kiyoshi Ota

第一三共は29日、同社が開発中のがん治療薬「トラスツズマブ デルクステカン(DS―8201)」を巡り、英アストラゼネカと開発と販売で提携すると発表した。第一三共が受け取る対価は最大で69億ドル(約7600億円)になるという。同社の株価終値はストップ高となる前日比16%高の5100円を付け、上場来高値を更新した。

Daiichi Sankyo CEO Joji Nakayama News Conference As $6.9 Billion Drug Deal With AstraZeneca Sets

中山讓治会長兼CEO

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

  第一三共の発表資料によると、アストラゼネカが第一三共に支払う対価のうち13億5000万ドルは契約一時金で残りの55億5000万ドルは開発や販売の進捗(しんちょく)などに応じて支払われる。また、両社は乳がんや胃がんなどを対象に同薬の療法について共同開発し、商業化する。

  全世界での利益と開発・販売などの費用は両社で折半し、第一三共が製造や供給に責任を持つ。日本と米国、欧州の一部などでの売上収益を第一三共が計上し、中国とオーストラリア、カナダ、ロシアなどではアストラゼネカが計上する。契約一時金は長期にわたって計上するため第一三共の今期(2019年3月期)の業績に与える影響は軽微としている。

  同社の中山讓治会長は都内で会見し、多数の開発計画を進めておりがん治療薬に強い会社として知られるアストラゼネカと組み、豊富な経験を活用することで開発スピードを速めて早期の販売開始につなげたい意向を示した。また、同社の独自技術を活用したDS-8201以外のがん治療薬開発でも「できるだけ多くのパートナーと進める方がいい」と話した。

  DS―8201は、第一三共の抗体薬物複合体の主力品目で薬物をがん細胞内に直接届けることで、体の他の部分への影響を抑えるよう設計。現時点ではいずれの国や適応症でも承認されておらず、安全性や有効性は確定していないとしている。同社は29日、これまで20年としていたDS-8201の乳がん治療に対する米国承認申請を19年度前半と前倒しすることも発表した。
  
  モルガン・スタンレーMUFG証券の村岡真一郎アナリストはメモで、業績面では得られる支払金により大きなプラスになるとの見方を示した。がんに強いアストラゼネカとグローバル提携できたことで、同薬のポテンシャル最大化への期待が高まるだろうとみる。

  UBS証券の関篤史アナリストは電話取材で、株価の急騰はDS-8201への期待の高まりを反映していると指摘。支払われる対価が、18年3月にエーザイと米メルクが抗がん剤「レンビマ」で戦略的提携に合意した際にメルクが支払うとした57億6000万ドルを上回ったことに驚いているとコメントした。

  特に、エーザイとメルクの提携は「レンビマ」が米国での承認を受けた後だったことに対し、未承認という点でDS―8201にリスクがないとは言えず、それでも金額が上回ったことが同薬への期待の大きさを表していると述べた。

(会見の内容を追加し、記事を更新します.)
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