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日銀の物価目標達成の妨げに-動き鈍いコアCPIの構成品目

  • 多くの構成品目は政府関連、上昇ペースは極めて緩やか
  • エネルギーは日銀を悩ませ続けるインフレのワイルドカード

日本銀行が注視する消費者物価指数(CPI)のうち、生鮮食品を除くコアCPI指標を構成する財・サービスのバスケットには、物価に影響を及ぼす可能性が極めて低い品目が詰め込まれている。日銀の2%物価目標を巡る議論が熱を帯びる中、これにより金融政策の効果が損なわれている。

  日本はエネルギー需要の多くを輸入に頼っており、原油価格の変動の影響を受けやすい。その原油はコアCPIの主要な変動要因だ。
  

無力なのか?

エネルギー、家賃、政府関連の価格が日銀の目標達成の妨げに

出所:ブルームバーグの計算、内閣府

備考:生鮮食品除くコアCPIの構成品目

           

             
  もう一つコアCPIの構成品目で大きなグループを形成するのは、診療代や公営家賃、鉄道運賃といった、値上げの際に政府の決定や承認が必要な公共サービスだ。言うまでもなく、政治家は賃金が何年にもわたり停滞していることを踏まえ、こうした品目の価格引き上げを支持することを嫌う。

  地下鉄の運賃はその典型例だ。東京駅から渋谷駅まではわずか200円で、これは5年前から変わっていない。比較可能な地下鉄での移動でロンドンのカナリーワーフからピカデリーサカースまでの運賃を見ると、現金で約710円と、同じ期間に約4.3%上昇している。
   
日銀が気をもむインフレ動向、夏までに上昇率ゼロ%に向け下げ加速か
          
  
通常は政府の影響が及ばない一部の品目に対して、政治家が値下げを強く要請していることも問題を複雑にする。菅義偉官房長官は携帯電話料金の40%引き下げを求めており、それが実現すればインフレ率はさらに0.9ポイント押し下げられることになる。

  超低金利政策が住宅ローン金利を押し下げ、貸家供給を増やすことにより、コアCPIの18%余りを構成する家賃の下押し圧力となっていることも、日銀にとっては皮肉な話だ。
     

エネルギーがインフレを左右

公共サービスなどは押し上げにほとんど寄与せず

出所:ブルームバーグの計算、内閣府

備考:コアCPIは生鮮食品と消費増税の影響を除く

            
  インフレ率が2017年に上昇に転じる中、エネルギーが物価の押し上げに平均0.46ポイント寄与する一方、政府の影響を受ける品目は黒田東彦日銀総裁の助けにほとんどなっていない。

  日銀は昨年7月に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、米国では公共料金や家賃が消費者物価の上昇に大きく寄与したものの、日本ではこれらの動きが鈍いと指摘した。

目まぐるしい変化

コアCPIの大部分は日銀が制御不能な品目で構成

出所:ブルームバーグの計算、内閣府

備考:生鮮食品除くコアCPI。各品目の寄与度をポイントで表示

  2%物価目標の達成に向けて日銀の金融政策運営は積極性を増し、その副作用が積み上がっていることを考えれば、これらのことは日本にとって大きな意味を持つ。

  パンテオン・マクロエコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、フライヤ・ビーミッシュ氏は、日銀では制御不能なインフレの要素の一部について最近警告を発した。日銀は現行の目標を巡る表現を堅持する一方で、目標を引き下げたかのように政策運営を行う可能性が高いと予想する。
   
  同氏の予想通りなら、日銀は物価目標をより柔軟に考えるべきだと最近発言した 麻生太郎財務相を喜ばせることになろう。 
         
原題:Wonky CPI Basket and Price Controls Undermine BOJ Inflation Goal(抜粋)

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