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日産会長は廃止、社外取締役の監視強化求める-企業統治委が報告

更新日時
  • 6月に指名委員会等設置会社へ移行、トップへの権限集中防ぐ
  • 取締役会の監督機能不全指摘も、経営幹部個人の責任は判断せず

日産自動車のガバナンス改善特別委員会は27日、トップへの権限集中を防ぐため指名委員会等設置会社への移行や会長職の廃止などを柱とする企業統治の強化に向けた提言を発表した。特別背任の罪などで起訴されたカルロス・ゴーン前会長の体制で生じた歪みを修正し、今後の再生の方向性を示すものと位置づけられる。

Nissan, Renault and Mitsubishi Motors Heads Hold News Conference as Ghosn Seeks to Regain Clout

日産本社のロゴ(横浜市)

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

  ガバナンス委はこの日に最終会合を開催。公表した報告書では問題の原因を踏まえた上で、実行性のある監督体制を確立するため2019年6月末に「指名委員会等設置会社」に移行するよう提言した。また、取締役の過半数と取締役会議長は独立性を持つ社外取締役が務めるべきとし、定款などで規定するとした。会長職については権限集中の象徴としての印象が強いとして廃止するとした。

  ゴーン前会長の問題について経営者が「私的利益を追求」した不正行為だとした上で、取締役会の監督機能が一部有効に機能しなかったことなども原因の一つに挙げた。ゴーン前会長の退職後の処遇に関し、ゴーン氏は人事と法務の責任者だったグレゴリー・ケリー前代表取締役(金融商品取引法違反で起訴)を通じて現最高経営責任者(CEO) である西川広人氏の署名が付された書面を取得したことも明らかになったとしている。

  弁護士でガバナンス委共同委員長を務める西岡清一郎氏は横浜市内での会見で、経営陣の責任については「ガバナンスに問題点があったことは認定したが、個々の方にどういった責任があったかまでは判断していない」と話した。筆頭株主である仏ルノーとの資本関係に関しては「非常に関心が強いことは認識していたが、会社が決める問題」として、委員会では議論の対象にはならなかったという。

ガバナンス委の主な提言内容
  • 取締役の人数は活発な議論と迅速な意思決定を可能にする適切な規模とし、当面は11人程度が望ましい
  • 社外取締役の多様性は極めて重要で国籍やジェンダーなどに十分配慮する
  • 指名委員会の委員の過半数は独立社外取締役とし、適切な後継者計画を策定して少なくとも年1回見直しを行う
  • 報酬委員会の委員はすべて社外取締役とする
  • 不正に利用された子会社などの組織体は廃止を含めた見直しを求める
同委が認定したガバナンスの問題点や根本原因
  • ゴーン前会長に対する取締役報酬および退職後の金銭支払いの検討
  • ゴーン前会長による会社資金・経費の私的流用
  • 取締役会における議論の状況
  • 誰もゴーン前会長に異を唱えない企業風土
  • 1人の取締役に権限が集中
  • 株価連動型報酬の開示を避けるため報酬内容の操作や書類の改ざんがあった
  • 一部の管理部署がブラックボックス化
  • 取締役会の監督機能が一部有効に機能せず
  • 社内各部署の牽制機能が一部有効に機能せず

ルノーの出資でV字回復

  指名委員会等設置会社は、経営を監督する取締役と業務執行を担う執行役を分離し、取締役会に社外取締役が過半数を占める指名、監査、報酬の3委員会を設置して取締役の選任や解任、役員報酬などを決める制度。日本取締役協会の調査では今年2月末時点で3000社を超える国内上場企業のうちソニーやブリヂストン、野村ホールディングスなど71社が導入している。

  ルノーが経営危機に陥っていた日産への6000億円以上の出資を発表し、提携関係がスタートしたのは1999年3月27日のことだった。ルノーから送り込まれたゴーン氏は村山や座間など国内5工場の閉鎖を含む厳しいリストラで業績をV字回復させた。

  2016年には燃費不正問題に直面していた三菱自動車に出資して傘下に収めた。アライアンス3社のシナジーは17年度に57億ユーロ(約7100億円)に達し、世界販売は1000万台を超えて独フォルクスワーゲンやトヨタ自動車に匹敵する規模を確保したが、ゴーン前会長が逮捕、起訴されて状況は一変。ガバナンス委が経営トップの独走を許した企業統治の問題点について検証を進めていた。
  
  関係者によると、27日前後にアライアンス発足20周年の記念式典を開く予定だったが状況を考慮して当面延期となった。ルノーのジャンドミニク・スナール会長は4月8日の日産臨時株主総会で取締役に就任し、取締役会副議長に就く見通しで日産の会長には就任しない考えを示す。だが、ルノーが日産株の約43%を保有し、日産はルノー株の15%しか持たず議決権もないなど資本構成の面ではルノーの優位は変わらない。

  一方、英紙フィナンシャル・タイムズは27日、ルノーが日産との合併協議を12カ月以内に再開することを目指し、さらにより巨大な自動車グループを築くため、フィアット・クライスラー・オートモービルズなどの買収を模索すると報じた。

(ガバナンス委の発表内容を追加し、記事構成を変えて更新します.)
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