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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

「戦後最長」景気に黄信号、判断引き下げなら3年ぶり

  • 1月の景気動向指数、後退局面入りの可能性を示唆
  • 日銀同様、政府も景気判断を引き下げる可能性高いーSMBC日興
Mount Fuji stands beyond buildings as a visitor looks out at the skyline from an observation deck in Tokyo, Japan, on Friday, Jan. 11, 2019. Japan’s key inflation gauge slowed in the first back-to-back decline since April, highlighting the difficulty of the Bank of Japan’s price goal ahead of its policy meeting next week.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

景気動向指数の基調判断が引き下げられたのを受けて、20日公表の月例経済報告で政府がどのような景気判断を示すかに注目が集まっている。総括判断が3年ぶりに下方修正されるようなら、戦後最長の景気拡大の可能性があるとの政府の認識はいずれ見直しを迫られ、今後の政策判断にも影響しかねない。

  1月の景気動向指数では、一致指数の基調判断が景気後退局面に入った可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正された。この表現が使われるのは、消費税率8%への引き上げの影響が続いていた2014年11月以来。中国の景気減速や米中貿易摩擦の影響などから足元で輸出や生産の指標の弱さが目立つ中、日本銀行は15日の金融政策決定会合で海外経済と輸出、生産の現状判断を引き下げた。

日銀:景気判断を下方修正、輸出・生産に海外経済減速の影響

  SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストはリポートで、日銀が景気判断を引き下げたため、「政府も同様に引き下げる可能性が高い」と今後に注目。政府が判断を引き下げたなら、消費増税のために用意した景気対策の前倒しや追加対策が期待されるようになり、増税延期の可能性も出てくると予想した。

  茂木敏充経済財政相は1月の月例報告公表時に、第2次安倍内閣が発足した12年12月からの景気拡大局面が1月で74カ月と「戦後最長になった可能性がある」との認識を表明。その後も政府は「緩やかに回復しているとの従来の認識に変わりはない」(菅義偉官房長官)としている。月例の総括判断は18年1月に「緩やかに回復している」へ上方修正されて以降、据え置かれている。引き下げがあれば16年3月以来。
      

足元で弱さが目立つ経済指標

出所:内閣府、財務省、経済産業省、日本工作機械工業会

備考:鉱工業生産と機械受注は前月比(%)、輸出と工作機械受注は前年比

      
  景気の山と谷は専門家で構成する内閣府の景気動向指数研究会の議論を基に決定され、通常は判定に1年以上を要する。安倍政権はリーマンショック級の出来事がない限り消費増税を実施する考えを繰り返し表明している。

  小泉政権で経済財政相を務めた竹中平蔵東洋大学教授は、月例報告の総括判断について、「担当統括官はそれをいつ変えようか、変えるべきタイミングが近づいていると感じているはずで、どのタイミングで変えるかは重要な節目になる」と指摘。今年10月の消費増税への影響に関しては、「景気の局面が変わったというだけの理由で一度決めた消費税引き上げを変えるのは難しい」との見方を示した。

  一方、農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、「景気判断を変えてしまうと増税できなくなる可能性があるため、よほど経済指標が悪化しない限り、『回復』を取ることはできない」と指摘する。第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストもリポートで、米中貿易戦争の決着次第とした上で、中国の景気対策効果が4-5月にも表れる可能性があり、「景気後退の判定を急ぐ必要はない」と記した。
               

最近の経済指標

ポイント

貿易統計
(2月)
輸出は3カ月連続減。春節の影響などとみられる1月の急減から2月は減少率縮小も、アジアの戻りの鈍さを指摘する声
鉱工業生産指数
(1月)
3カ月連続低下し、指数は18年1月以来の低水準。基調判断は「生産は足踏みしている」に引き下げ
景気動向指数
(1月)
一致指数の基調判断を「下方への局面変化」に引き下げ、景気後退局面に入った可能性が高いことを示す
工作機械受注
(2月)
5カ月連続で前年実績割れ。減少率は2009年10月以来の大きさで、25カ月ぶりに1100億円を割り込む
法人企業景気予測(1-3月)製造業の景況判断BSIは大企業が3四半期ぶりにマイナスになるなど、全ての事業規模で悪化
機械受注
(1月)
民間設備投資の先行指標となる船舶・電力除く民需の受注額は3カ月連続減少、3カ月連続マイナスは17年4ー6月以来
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