コンテンツにスキップする

前回はマイナス金利導入の4カ月前、日銀の総括判断に慎重な文言追加

  • 日銀内である種『劇的な変化』が起きていると東海東京調査の武藤氏
  • 手段は限定的で手詰まり感、片岡委員も緩和強化の具体案を取り下げ

日本銀行が輸出と生産の判断を下方修正するとともに、総括判断に慎重な文言を追加したことを受けて、追加緩和観測が高まっている。ただ、手段については手詰まり感が強まっており、日銀に有効な手が残されているのか懐疑的な見方が根強い。

  日銀は15日の金融政策決定会合で、「緩やかに拡大している」という総括判断に、「輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられるものの」という文言を追加した。日銀が前回、同じように「緩やかな回復を続けている」という総括判断に、「輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられるものの」という文言を加えたのは2015年9月。マイナス金利導入の4カ月前だった。

  東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは会合後のリポートで、通常、景気の潮目が変わるときに日銀が判断を大幅に下方修正することはまれであり、「こういった文言が付け加わっているということ自体、日銀内ではある種『劇的な変化』が起きていると読み替えるべきであろう」と指摘した。

  会合前の調査では、次の政策変更は追加緩和との予想は37%と1月の前回調査(18%)から倍増した。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは会合後のリポートで、円安基調で推移する為替は日銀にとり支援材料で、「金融緩和が差し迫っているわけではない」ものの、判断引き下げが展望リポートの下方修正の布石になり「いずれ緩和措置へつながっていく」との見方を示した。

片岡委員は具体策を撤回

  もっとも、マイナス金利を導入した16年当時と比べても追加緩和手段は限定的で、手詰まり感が強い。片岡剛士審議委員が現状維持への反対理由として「先行きの経済・物価情勢に対する不確実性がさらに強まる中」と、「さらに」に加え危機感を強めた一方で、従来主張していた「10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう」という具体案を取り下げたことは象徴的だ。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは会合後のリポートで、追加緩和については「量・質・金利とも副作用より効果が明らかに勝ると確信できるツールが見当たらない」と指摘した。

  第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストも会合後のリポートで、「長短金利操作の引き下げ、マイナス金利貸し出し、指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ増額などいくつかのオプションが浮かぶものの、どれもコスト対比で有意な政策効果を得られるかは判然としない」と指摘。「少なくとも年内は、現在の金融政策が維持される可能性が高い」と予想した。  

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE