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デサントへの敵対的TOB成立-伊藤忠の出資4割に、影響力増す

更新日時
  • TOBへの応募株式数は買い付け上限の2倍に達する
  • 伊藤忠が過半を取得しなかったことは「和解の余地残す」との見方も

伊藤忠商事は15日、スポーツ用品会社デサントへの株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。日本では事例の少ない敵対的TOBとなったが、筆頭株主で約3割を保有する伊藤忠が経営改善を求めて出資比率を4割まで高める。伊藤忠によるデサントへの影響力が増すことになった。

  伊藤忠の発表によると TOB期限の14日までに買い取り上限の2倍となる約1512万株の応募があった。そのうち上限としていた721万株をTOB発表前日の株価終値と比べて5割増となる1株当たり2800円で買い付ける。取得総額は約202億円。決済開始日は22日を予定。

Descente Ltd. Tokyo Office and Store As Itochu Threatens To Shake Up Management

デサントの店舗

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  デサント株式の3分の1超を伊藤忠が保有することで、株主総会で特別決議が必要となる重要な経営事項に対して単独での阻止が可能となる。取締役の解任や新株発行、企業合併などが特別決議の対象で、伊藤忠の意向がより反映されやすくなる。

  デサントは今回のTOBは経営支配につながるとし一貫して反対していた。同社の労働組合と元従業員からなるOB会も同様に反対。ただ、デサントは伊藤忠のTOBは成功するとの見込みから、増資などの手段で対抗することはせず、TOB成立後に企業運営などについて協議したいとも表明していた。

  デサントは同時午後、伊藤忠の発表を受けて「TOBが終了したので、話し合いを再開したい」との声明をメールで発表。ブルームバーグの問い合わせに対し、同社広報部はこれ以上は現時点ではコメントできないとした。

  伊藤忠のこれまでの説明によると、デサントは女性用下着メーカーのワコールホールディングスとの提携を直前まで連絡しなかったことや、マネジメントバイアウト(MBO)の実施計画を相談なく検討したことなどから両社の関係が悪化。また、伊藤忠はデサントに対して韓国市場に過度に依存した経営を改め、国内事業の改善や他国でも積極的な事業展開をすべきと求めていた。

伊藤忠のTOB発表後に株価は急騰

デサントの株価推移

出所:Bloomberg

  SBI証券の雨宮京子シニア・マーケットアドバイザーは、伊藤忠の岡藤正広会長CEOとデサント創業家出身の石本雅敏社長の「感情的な対立、ボタンの掛け違いが背景にある」と指摘する。「応募数を見る限りTOBを市場は好感したようだ」とした上で、伊藤忠が出資比率を4割にとどめたことは「和解の余地を残しているとも理解でき、今後の協議の行方に注目している」と述べた。

  両社の最大の争点はデサントの取締役を巡る構成。伊藤忠はデサントの取締役を現行の10人から6人に減らし、伊藤忠とデサント、社外からそれぞれ2人で構成することを提案。一方、デサントは社内からの取締役を1人に減らし、ガバナンスを強化するために現在2人の社外取締役を4人に増やして計5人を主張している。

  伊藤忠は2月28日の発表で、TOB期間中にデサント経営陣と4度協議を行ったことを明らかにした。しかしデサント側が公式発表とは異なる発言を一部メディア等で行うなどの対話を軽視する行為があるとして協議の打ち切りを表明。

  さらにデサントの現経営体制には「重大な問題点が露呈」したとも指摘。企業価値が低下する可能性が高いと判断した場合には、臨時株主総会の招集を請求する可能性にまで言及し、取締役の退任を迫る手段を示唆している。

  両社の関係は長く、1964年の業務提携から始まった。伊藤忠が80年代に入り資本参加し、過去2度の経営危機も伊藤忠の支援などで乗り切った経緯がある。

  デサントの株価終値は前日比2.7%高の2547円、伊藤忠の株価は同0.7%高の2016.5円

(デサント側の対応などを追加しました.)
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