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トランプ氏が追う二兎、通商合意と株高のいずれも得られぬ可能性も

  • 具体性に乏しい合意にとどまり、市場は失望する恐れも
  • 「タリフマン」自称するトランプ氏、自ら期待値上げてジレンマに

中国との通商交渉で合意を成立させれば株式市場が歓迎すると、トランプ米大統領は当て込んでいるが、投資家から見ればそれは容易ではなさそうだ。米中合意の見通しは、今年の株価上昇局面で市場が織り込んでいたのに比べはるかに不確実になっている。せいぜい詳細を伴わない見解一致にとどまるか、どの関税は維持しどの関税は廃止するといった具体性に乏しいものになると考えられている。

President Donald J. Trump

トランプ米大統領:3月6日

撮影: Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images

  あるいはポンペオ国務長官が今週指摘したように、トランプ氏は米朝首脳会談の時と同様、中国の習近平国家主席との交渉の場からも立ち去るかもしれない。そうなれば貿易摩擦は新たな段階を迎える。現実には、貿易摩擦は今後も米国の政策の一部として定着し得る。「タリフマン(関税の男)」を自称するトランプ氏の対中強硬姿勢は、党派を超えて支持を得ている。

The U.S. president is looking for a `win' on trade to boost stocks

大きな賭け。株価押し上げへ貿易での「勝利」を目指す米大統領。

出所:ブルームバーグ

  トランプ氏のジレンマは、自分で期待値を上げてしまっていることだ。先日もツイートで、交渉は「順調に進んでいる」と発信し、期待通りの合意が成立しない場合にマーケットが痛手を負いかねない状況を作り出した。良い例が、関税撤廃で合意が近いとの報道が3日に伝わり、株式先物は小幅高となったが、その後3営業日の株式相場は軟調が続いている。

  トランプ氏自身、「良い取引か、取引なしのいずれかになるだろう」と6日に述べた通り、結果はどう転んでもおかしくない状況だ。大統領再選を果たすには国際舞台で大成功を収め、それに伴う株価上昇が必要だと焦るトランプ氏は、貿易合意を急いでまとめるよう側近に圧力をかけていると、ブルームバーグが6日に報じた

   米中関係の先行きが転換点となって世界経済の成長減速を長引かせかねないと、投資家は見ている。モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントでグローバル債券の最高投資責任者(CIO)を務めるマイケル・クシュマ氏は、「短期的に言えば、関税をゼロにするのが最善のシナリオだ」と話す。トランプ氏が習主席との交渉の席を立つのであれば、マーケットは「極めてネガティブ」に受け止めるという。「これ以上摩擦がエスカレートする事に対し、マーケットはまったく準備ができていない」と述べた。

原題:Trump Wants China Deal and Stocks Rally. He May Not Get Both (1)(抜粋)

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