コンテンツにスキップする
Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg

中国には「もろ刃の剣」-投資資金流入、ボラティリティーに弱く

  • 経常黒字が縮小する中、人民元を下支えする効果
  • 変動エクスポージャー高まるリスク、為替管理も複雑に-プラサド氏
An employee places genuine Chinese one-hundred yuan banknotes into a counting machine at the Counterfeit Notes Response Center of KEB Hana Bank in Seoul, South Korea, on Friday, July 13, 2017. Yuan is set to slide for fifth week, longest losing streak since July 2016, as escalating U.S.-China trade tensions weigh on sentiment.
Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg

中国は本土株や国内債券市場への世界の投資家の呼び込みに成功しつつある。その分、中国の金融システムは海外の動向による影響をかつてないほど受けることになり、将来的にボラティリティーの種をまいている可能性もある。

  外国の資本を着実に流入させるという中国の取り組みは実を結びつつある。経常黒字の縮小に直面する中、人民元を下支えする効果を発揮している。直近データによると、海外勢の中国債券保有額は2600億ドル(約29兆円)超と記録的な規模に増える一方、株式の保有は1720億ドルに達している。

  世界の債券・株価指数への中国資産の組み入れ拡大で中国には新たな資金調達源が生まれる。その必要性は5日発表された財政赤字目標の対国内総生産(GDP)比引き上げと地方政府債の発行拡大計画をみても明らかだ。国際通貨基金(IMF)は向こう数年も経常黒字が縮小すると見込んでおり、資本流入はそれを穴埋めすることにもなる。

  IMFで中国担当者を務め、現在は米コーネル大学で教えるエスワール・プラサド氏は、「外国投資家への開放推進は中国金融市場の発展に寄与するだろうが、資本フロー変動へのエクスポージャーは高まるリスクがある。為替管理も複雑になるだろう」と話す。

Foreign holdings of Chinese stocks and bonds are on the rise

  外国投資家による中国国内債・株式の保有割合は3%に満たず、今のところわずかだが、保有債券の多くを占める国債へのインパクトは大きくなりつつある。グローバルポートフォリオにおける中国のウエートが拡大するにつれ、外国勢の影響力は強まる見通しだ。こうしたポートフォリオに対する中国の影響も増すことになる。

  グリフィス・アジア・インスティテュートのシニアリサーチフェロー、ホイ・フォン氏は「もろ刃の剣になるだろう。アクセスは広がるが、同時にグローバル市場へのボラティリティー波及も強まることになる」と分析した。

  外国勢の突然の資金流出への潜在的な脆弱(ぜいじゃく)性を受け、2015、16両年に見られたような不安定な事態を防ぐため、中国が規制変更を巡り意思疎通の取り組みを強める可能性は高まる。うまくやれば、世界の投資家の参加拡大で中国資産の購入層の多様化が進み、実際にはボラティリティーが下がるかもしれない。

根強い懸念

  「米株式市場は世界から大量の資本を引き付けているが、この数十年で米市場の脆弱性は高まったのか。答えは『ノー』だ。実際には最大かつ非常に効率的な株式市場に発展する原動力になった」と香港大学でファイナンスを教える孟茹静氏は語る。

  値動きが極端に大きくなったときに中国が資金引き揚げを阻止するのではないかとの一部投資家の懸念もあり、長期にわたる資金流入にはこうした懸念の緩和が必要になる。

  ロンバー・オディエのアジア太平洋担当最高投資責任者(CIO)、ジャンルイ・ナカムラ氏は「中国で変動が大きくなった際、債券や人民元建てA株の売買が自由にできなくなれば投資家にとっては厄介だ」と指摘。「中国では一晩でルールが変わる。まずは確信が持てることと政策面の透明性確保が必要だ」と述べた。

原題:China’s Double Edged Sword: How to Lure Cash But Keep Control(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE