コンテンツにスキップする

【コラム】中国はスパイ活動の型にもはまらない

  • 中国のサイバー作戦は軍事だけでなく企業秘密や民生技術にも及ぶ
  • それぞれが持つ知識を集積し、共有する方法の開発が必要
relates to 【コラム】中国はスパイ活動の型にもはまらない
Photographer: Rob Carr/Getty Images
relates to 【コラム】中国はスパイ活動の型にもはまらない
Photographer: Rob Carr/Getty Images

冷戦前から大学はスパイ活動にとって極めて都合の良い場所だった。西側と旧ソ連の情報機関は自国の大学で直接スパイのリクルート活動をする一方、標的とする相手国で将来的に知識や権力を持つ可能性のある専門家にも近づいていたことが知られている。

  だが中国が少なくとも27大学に対して行っていると伝えられた大規模なハッキング作戦は、この型にはまらない。しかも中国政府のサイバースパイ活動は相当エスカレートしているようだ。

  米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)はアクセンチュア・セキュリティ傘下のアイディフェンスの調査を引用し、米国ではマサチューセッツ工科大学やワシントン大学、ハワイ大学、ペンシルベニア州立大学などが標的となり、そして韓国では三育大学が狙われていると報じた。この調査結果は米サイバーセキュリティー会社ファイア・アイが収集した情報と整合性があるという。そこに共通するのは軍で使われる海事テクノロジーとの絡みだともWSJは指摘した。

Growth Hack

An escalation in cyber threats has driven sales at the world's largest providers of information security

Source: Bloomberg

Note: Data is for most-recent reported full fiscal year, and dates may not coincide.

  中国の対外ハッキング活動はすでに何例も確認されており、標的は米海軍のみならずウェスチングハウス・エレクトリックやアルコアなどの企業も含まれる。もちろん米国も全くの無罪とは言い難い。米国などが仕掛けたとされるコンピューターウイルス「スタックスネット」はイランの核プログラム妨害に成功したとして特に知られる。

  大学という学術組織が、国家主導のサイバースパイ活動による犠牲になっているとの考えは深い憂慮を招く。大学は制約されない好奇心と知的探求のとりでであるはずだ。策略と超大国の思惑が渦巻く濁った世界によって破壊されてはならない。

  軍事技術を開発する大学はすでにその純粋さを失っている。だからこそ自らが直面する脅威に無自覚であるべきではない。多くの大学がサイバーセキュリティー対策をすでに実施し、さまざまな水準の防御体制が大学ネットワークに施されているが、世界的にサイバー戦争がエスカレートする中で、学部をまたぎかつ個々の学部内で一段と協調していくことが必要になる。

  冷戦時のスパイ活動は大半が軍事機密狙いだったが、中国のサイバー作戦は企業秘密や民生テクノロジーにも及ぶ。最新鋭ジェット戦闘機をどのように組み立てるかだけでなく、最先端の半導体を開発する方法も中国政府は知りたいと望んでいるのだ。

  これが守りをずっと難しくしており、学術機関・団体はそれぞれが持つ知識を集積し、共有する方法を開発する必要がある。多くの学術的成果と同様、こうした洞察力は社会全般の利益にもなり得る。

  アメリカン大学が2018年3月に公表した論文は、人々が共有する情報を集積させたナレッジネットワークがサイバー攻撃を防ぐとともに、対応するための重要な手段だと論じた。ところが、この論文の執筆者の1人は、同大学に留学していたロシア人の女性スパイで昨年摘発されたマリア・ブティナ被告だった。

  (Tim Culpan=高燦鳴=氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストでテクノロジーを担当しています。以前はブルームバーグ・ニュースでテクノロジーの取材をしていました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Chinese Hacks Show Cybersecurity Isn’t Just Academic: Tim Culpan(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE