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【コラム】墓穴掘った華為、「顎足付き」招待不発で法廷闘争-Culpan

  • ワシントン・ポストのコラムニスト、華為からの招待状を公開
  • 母国では存在しない選択肢、華為CFOがカナダの法律に基づき行使

カナダ当局が訴えられた。原告は米国の身柄引き渡し要請を巡る審理が決まった華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)。自身を逮捕した当局を相手取り、カナダで民事提訴を起こし、損害賠償などを求めている。

  このところ華為は同社が良識ある国際企業であり、通信ネットワーク機器メーカーとして信頼でき、中国のスパイ活動に手を貸すようなことはしないと積極的に主張を展開。創業者である任正非最高経営責任者(CEO)もメディア対応に乗り出している。華為がPR活動の危機に直面していると自覚しているためだ。 

Too Big to Ignore

Huawei's continued global expansion drives its annual sales toward $100 billion

Source: Bloomberg

  PRチームにジャーナリストやメディア経験者の採用を図る華為は、そうした取り組みに加え、あたかもガイド付きツアーに参加すれば何もかも明らかになるというように同社の深圳キャンパスにジャーナリストを招待。その結果、華為がスパイ疑惑否定を主張する多くの記事が生まれた。スペインでの携帯電話見本市「MWCバルセロナ」では、華為の郭平輪番会長がエドワード・スノーデン米中央情報局(CIA)元職員に触れ、米国によるスパイ活動にジャブを浴びせた。

「鏡よ鏡、最も信頼できるのは誰か?とても重要な質問だ。もし答えられなければ、エドワード・スノーデンに尋ねてみればいい」

  華為の新たなPRキャンペーンはある程度成功しているようだ。ニュージーランド(NZ)のアーダン首相は先月、華為が次世代移動通信ネットワーク向けの機器を販売する扉は開いたままだと表明。英国の国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)は、第5世代(5G)通信網で中国の華為製品を使用することに伴うリスクは管理可能だとの結論を示した。

  一方で、米紙ワシントン・ポストのコラムニスト、ジョシュ・ロギン氏ら外国人ジャーナリストを飛行機代や宿泊費、食事代を含む全額を華為側の負担で招こうとしたと報じられ、ソーシャルメディア上で批判された。こうした「顎足付き」招待の申し入れはテクノロジー業界ではかなり一般的だが、大方のメディアは倫理的な理由から応じない。ロギン氏がツイッターで公開した華為の招待状は、そうした事情を踏まえるとかなりの赤面ものだ。

  華為にとって有利なのは、同社製品がスパイ活動に使われたことを示す明白な証拠が米国側にないことだ。米国での2017年の裁判で、TモバイルUSのロボット「タッピー」設計情報を華為が盗んだと陪審は判断したが、それは米当局が考えているような類いのスパイ活動ではない。華為社員がポーランド治安当局の元高官と共に今年1月に逮捕されたことは華為にとって良い話ではないが、決定的な証拠にはならない。

  だが任CEOが外国メディアに対して、華為がスパイ活動に参加を求められれば、中国の法律に従うことを同社は拒否すると述べた時、74歳になる任CEOは信用を失った。従業員18万人を抱える中国企業の創業者が、外国の法律に抵触するよりは中国の法律を破ることを選ぶと明言したのだ。CBSにも話したし、ブルームバーグ・ニュースが参加した別の集まりでも語った。
  
  そうであれば、カナダを訴えるとの決定は華為のPRキャンペーンではマイナスだ。懐疑派懐柔を図ったがうまくいかず、窮地に追い詰められ、思わず司法闘争に挑むとほえて、墓穴を掘ってしまったのだ。

  孟CFOの訴えが正しいかどうかはポイントではない。たとえ勝訴したとしても、華為側は何を得るかを自問する必要がある。正義の追求は全ての人に与えられた権利だが、自らを冷静で信頼できるパートナーだと描こうとしている華為にとっては、むしろ好戦的だと受け取られかねない。

  当局との法廷対決という母国では存在し得ないような選択肢をカナダの法律に基づき行使するという皮肉は、華為の新たな攻撃的キャンペーンをすでに懸念している人々にも伝わる。敵ではないと人々を信じさせという点で華為はかなり良い仕事をした。だが、カナダに対する訴訟が示しているのは恐らく、華為自らが最大の敵であるということだ。

  (Tim Culpan=高燦鳴=氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストでテクノロジーを担当しています。以前はブルームバーグ・ニュースでテクノロジーの取材をしていました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Huawei Is a Cornered Tiger Clawing Its Own Face: Tim Culpan(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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