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グロース氏の言葉-「アウトパフォーマンスの時代は終わった」

  • 過去と同程度のアルファを生成できる確率ははるかに低くなっている
  • 債券王グロース氏が48年のキャリアを振り返る

次の債券王になることを望む運用者へのビル・グロース氏からの捨てぜりふと言っていいかもしれない。ベンチマークを上回る成績が運用者としてのトレードマークだったグロース氏だが、アウトパフォーマンスの時代はほぼ終わったと言う。

  「市場にはまだアルファを生成する可能性として注目すべきものがあるが、過去と同程度のアルファを同様に生成できる確率ははるかに低くなっている」と48年のキャリアを経て3月1日に引退したグロース氏がカリフォルニア州ニューポートビーチでブルームバーグテレビのインタビューに応じて語った。

PIMCO Co-Founder Bill Gross Interview

ビル・グロース氏

Photographer: Patrick T. Fallon/Bloomberg

  原因は多数ある。グロース氏(74歳)はパシフィック・インベストメント・マネジメントでの40年間の大半において、投資家は別に「聡明(そうめい)」でなくても年30〜40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、すなわち0.3〜0.4%の「構造的アルファ」を生み出すことができたと振り返った。残存期間が短くなるのに伴い価格が上昇するロールダウンがあるため、保有を続けるだけでリターンが出せた。

  しかし今は、全体的に利回りははるかに低く、残存期間の異なる米国債の間のスプレッドは非常に小さい。量的緩和(QE)とゼロまたはマイナス金利によって、中央銀行が「ゲームの性質を変えた」とグロース氏は指摘した。

  ミスプライシングを見つけるのも以前より難しい。グロース氏は、銀行が新しいクレジット商品を導入した際には飛び付いたという。新しい商品への理解が不十分なことは不可避で、本来的な価値に対して割引価格で取引されたためだと同氏は説明した。1970年代に住宅ローン証券が導入された後の最初の数年間はその一例だ。

  「投資家は基本的にそうした証券に手を出さなかった」と同氏は語る。「当社の会計部門も、元本と利子をどう分離していいか分からず、多くの不平があった。しかし私は、やろうと言った。これらの商品はとても割安だったからだ」とグロース氏は語った。そして、早い時期に同市場に参入したという。

「アウトパフォーマンスの時代はほぼ終わった」とグロース氏

(Source: Bloomberg)

  同様に、1980年代には米国債先物の大規模な買い手にもなった。顧客は「先物」と聞いて、「大豆のようなものか?トウモロコシの取引か?」と尋ねたと、グロース氏は当時について語った。投資家が尻込みした結果、現物市場と先物市場のスプレッドは異常に広くなり、「一種のリスクのない裁定取引」を生み出したという。

  現在は、こうした機会はほとんどなくなっている。その一因は、コンピューターを使ったシステマチック戦略の登場でミスプライシングが素早く解消されるようになったことだ。さらに、金融危機以降、より厳しい監視と規制を受けるようになった銀行が、あまり新商品を開発しなくなったこともある。

  グロース氏は「市場は現物および派生商品の品ぞろえという点で、高度に発展している」と指摘。「われわれは行き着けるところまで行き着いた」と述べた。


原題:Bill Gross Sees ‘Much Less’ Alpha in Era of QE and Quant Trading(抜粋)

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