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万引GメンはAI、不審行動を察知して通知-ソフトバンク系も出資

  • スタートアップのVAAK、5日に万引防止システムを発売
  • 万引を自動で検知し映像を警察に提供、後日逮捕の実績も
AIで万引き防止

スタートアップ企業のVAAK(東京・港区)は、人工知能(AI)を活用した万引防止システムを5日に発売する。AIがコンビニなどの店舗で監視カメラで捉えた映像内の人物行動を解析し、不審な行動を検知すると店員のスマートフォンに通知が届く仕組みだ。

Vaak's AI Software That Unmasks Shoplifters

万引防止システム「VAAK EYE」のデモ風景

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  田中遼社長(30)は、AI技術を駆使して社会的な課題を解決することに大きな可能性を見いだしているとし、今後3年でコンビニエンスストアやドラッグストアなど10万店舗での導入を目指すと話した。

  通知を受けた店員が不振な動きを取った来店者に声を掛けて万引を未然に防ぐほか、映像を警察に提供し犯人逮捕につなげることもできる。すでに監視カメラの設置店舗なら、利用料はカメラ1台当たり月額1万8000円。国内で年間4615億円とされる万引被害額の削減が期待されるほか、録画映像のチェックにかかる時間やコストの削減効果も見込める。

  VAAKは2017年に創業、18年にはソフトバンクグループの子会社でAIに特化したファンド「ディープコア」から5000万円の出資も受けた。シリーズAと呼ばれる初期の資金調達ラウンドで10億円を集めることを目指し、国内外の投資家と協議しているという。

  自社で開発した万引防止システム「VAAK EYE(バークアイ)」は、カリスマ万引Gメンの着眼点をAIに落とし込み、2年弱かかって完成した。大手コンビニなど16店舗で実証実験をした結果、万引被害額を77%削減し、万引対策の費用も96%削減した。

  昨年12月には横浜市内で実証実験中だったコンビニで、万引行為を自動検知し、警察に映像を提供した結果、後日犯人が逮捕された実績もある。田中社長は「ついにAIで犯罪を防止する社会への一歩を踏み出すことができた」と話した。

効率よく分析

  調査会社ガートナーの小売業界アナリストのトーマス・オコナー氏は、店舗の監視カメラを利用した犯罪分析の一番の問題は、動画データの保管に費用がかかり過ぎることだと指摘。監視カメラの映像がクラウドを介して分析ツールとリンクされることで、不審行動を効率よく分析できると述べた。

  AIを使った万引の防止で競合する企業もある。20年にわたる小売コンサルタントとしての経験を持つ山内三郎氏が起業したスタートアップ企業アースアイズ(東京、港区)も、NTT東日本と提携し「AIガードマン」を昨年6月から提供している。既に大手家電量販店やドラッグストアで導入されている。

  AIガードマンの場合は1台23万8000円の専用小型カメラの購入が必要となるほか、カメラ1台当たりの月額サービス利用料4000円と録画した動画を保存するストレージ利用料が必要。バークアイと同じように不審行動を自動的に検知し店員に通知する仕組みだ。

Vaak's AI Software That Unmasks Shoplifters

VAAK田中遼社長

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  海外では米国や英国に競合会社が3社程度あるが、VAAKの田中氏は「どこもアーリーステージで先行できる領域は大きい」とし、既に米国や中国の防犯カメラメーカーから利用に関する問い合わせがあるという。将来的には、東南アジアでの小売店舗への導入なども視野に入れている。

  小売業界のデジタル活用に詳しいアクセンチュア製造・流通本部の秦純子マネジング・ディレクターは世界の小売業界でAIや機械学習などのハイテク技術を活用している企業は2割以下とし、「特に日本の小売業界では技術の活用に対する危機感が薄く、人手不足などの深刻な問題をいかにAIで補完していけるかどうかが課題」と話した。

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