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金融庁が3メガ銀や農林中金など一斉調査、CLO投資で

更新日時
  • 残高の大きかった農林中金、ゆうちょ銀、MUFGにはより重点的に
  • 2、3カ月後に再度一斉調査を予定-保有拡大の動きあれば個別調査
Coincheck Inc. Files A Report To Regulators Over $500 Million Cryptocurrency Heist
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

米ローン市場の過熱に警戒感が広がる中、金融庁が今年1月、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)など3メガバンクや農林中央金庫など大手7銀行グループに対し、ローン担保証券(CLO)投資に関する一斉調査を実施していたことが2月28日に明らかになった。複数の同庁関係者が匿名を条件に明らかにした。

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農林中金本店

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg News

  今回の調査の対象金融機関はMUFG、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、りそなホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングス、農林中金、ゆうちょ銀行。うち、事前調査でCLO投資残高の大きかった農林中金、ゆうちょ銀行、MUFGに対してはより重点的な調査を実施したという。

  具体的には、リスク分析や監視のシステムなど管理状況について調査したほか、10年前の金融危機時並みのストレスがかかった場合の損失規模について説明を受け、内容を精査した。関係者は、国際的にシステム上重要な銀行(G-SIB)に指定されている3メガ銀行などに加え、機関投資家として金融機関との契約を多数抱える農林中金、ゆうちょ銀で問題が発生した場合も金融システム全体に幅広く波及する恐れがあるとの認識を示した。

  米国では、CLOの裏付け資産となるレバレッジドローン(高リスクローン)の市場が過熱。利回りの高さが投資家の人気を集め、2018年の発行額は過去最大となった。18年末にかけて、イエレン前連邦準備制度理事会議長、エリザベス・ウォーレン上院議員らが次々と同市場のリスクを指摘。こうした事態を受け、金融庁はCLOに特化した調査に踏み切ったという。

  同庁関係者の1人は、最近、米国のレバレッジドローン貸付先企業で、自己資本に対する借入金などの割合を示す「レバレッジ比率」が上昇し、質が劣化してきていることに懸念を感じていると話す。こうした問題意識はすでに調査先に伝えており、金融庁は各グループのCLO保有について2、3カ月後に再度一斉に点検する方針だ。CLO保有に急拡大の動きなどがあれば個別の調査も検討する。

リスクは管理

  農林中金の開示資料によると、CLOを含む債務担保証券(CDO)の保有残高は昨年12月末時点で6兆8219億円と、3月末時点の3兆8134億円から1.8倍に急増した。MUFG広報担当によると、CLO残高は同12月末で2兆5000億円程度で16年3月末時点と同水準になっているという。ゆうちょ銀の資料によると、同12月末の米CLO保有は1兆63億円と3月末時点から2倍に増えていた。3グループとも格付けは最上位のAAAだとしている。

  特に、農林中金は欧米のCLO市場で重要な投資家として圧倒的な存在感を持っている。欧州で今年新たに発行されたCLO8案件のうち6案件で購入者に名を連ねた。金融庁関係者は、農林中金は今回、ストレステストで納得できる結果を提出しており、現時点で管理状況には問題ないと判断していると述べた。

  一方で、農協など下部組織からの預金受け入れ時に市中より金利を上乗せする「奨励金制度」の存在が農林中金をより高収益に駆り立てていると認識しており、投資行動を注視しているとした。農林中金広報担当によると、平均の預金金利は約0.6%。これに比べ、三菱UFJ銀行の10年定期預金は年利0.01%となっている。

  東洋大学の野崎浩成教授は、CLOの発行残高が「結構なピッチで増えてきている」との認識を示した上で「クレジット市場の変調に対し、非常に脆弱(ぜいじゃく)な部分がある。また、流動性も高いようで低い。その意味で市場のクラッシュというものに対し脆弱性を持っている」と指摘。農林中金については「CLOそのものが危険だと言うつもりはないが、保有量のコントロールが必要な段階にきたと思う」と述べた。

  MUFGの広報担当者はリスクは厳重に管理しているとコメント。現在の保有分については市場リスクの量を常に計測しているほか、新規分についてはストレステストを実施し個別に確認しているとした上で、低金利環境の下、CLOは相対的に魅力的な投資対象だとの考えを示した。

  ゆうちょ銀行の大野利治執行役・財務部長は2月14日の会見で、市場や投資家のリスクに対する目線が厳しくなる中で、格付けが「AAA」のCLOは良い投資の選択肢の一つだと述べた。農林中金の広報担当はコメントを控えた。

(第6、7段落にCLO保有残高やコメントなどを加えて更新します.)
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