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Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

経済への下振れ方向の不確実性高まりつつある-鈴木日銀委員

更新日時
  • 金融政策運営、副作用考えながら持久力持つよう修正図っていく必要
  • 状況に応じ各回の国債買い入れオペ額の適切な調整を図ることが重要
Pedestrians, center, look at an electronic stock board while other people walk by outside a securities firm in Tokyo, Japan, on Wednesday, Oct. 18, 2017. As Prime Minister Shinzo Abe's ruling party heads for what polls suggest will be its best national election result in more than three decades, Japan's stock market has surged to heights not seen since before the financial crisis.
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行の鈴木人司審議委員は28日、水戸市内で記者会見し、現時点で追加緩和の必要は全くないと述べた上で、仮に物価上昇のモメンタムが損なわれても、追加緩和は効果より副作用が大きい可能性があり、「十分慎重な議論が必要」との見方を示した。

  鈴木委員は、日銀政策委員会の「多くの委員は現状、物価目標の2%に向けたモメンタムが維持されていると言っているので、追加緩和の必要は全くない」と言明。仮に将来、モメンタムが損なわれれば「適宜適切な金融政策を検討していく」としながらも、追加緩和を行う場合は「効果より副作用が大きい可能性があるので、私としては十分慎重な議論をしていく必要があるだろうと考えている」と語った。

  鈴木委員は、地域金融機関の経営環境は利ざやの縮小などで「非常に厳しくなっている」とした上で、金融緩和長期化の「副作用がどこかの時点で顕現化すると、うまく対処するのが難しくなったり、手遅れになるリスクがある」と指摘。金融政策運営については「将来は副作用を考えながら、それに対して持久力を持つような修正を図っていく必要がある」と述べた。

   これに先立つ講演では、米中間の貿易摩擦や欧州の政治情勢を巡る不透明感、中国の弱めの経済指標などを背景に投資家はリスク回避姿勢を強めており、昨年末から年明けにかけて株式市場や為替相場が「やや不安定な動きを見せた」と指摘。市場の動揺をきっかけに世界経済が変調をきたすリスクも含め、 「経済への下振れ方向の不確実性が高まりつつある」と述べた。

  その上で金融政策運営について、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で「強力な金融緩和を息長く継続していくことが重要」と語った。

  一方、地域銀行や信用金庫で相対的にリスクの高い企業や不動産賃貸業向け貸し出しもみられ、仮に景気後退局面になればこうした企業の経営悪化が「信用コストとして顕現化する恐れがある」と指摘。貸出先企業のデフォルト(債務不履行)率が上昇すれば貸倒引当金の積み増しが必要となり、金融機関にとって「加速度的な収益悪化の要因となり得る点に注意が必要だ」と述べた。

  金融機関のリスクテイク姿勢や経営の動向を引き続き注視するとともに、今後も現状の金融緩和政策を息長く続けていく下で「重視すべきリスクの点検」を行い、物価目標に向けたモメンタムをしっかりと維持すべく「適切な政策運営に努めていきたい」と語った。

  鈴木委員は、日銀の買い入れで市場で流通する10年物新発国債の減少傾向が続いていることについて、金融機関には「低金利環境下でも一定量の国債を保有するニーズがある」ため、このまま減少が続けば、「金融機関によっては保有国債残高が徐々に必要最低限の水準まで近付いていくことが予想される」と指摘。「状況に応じて各回の国債買い入れオペの金額についても適切な調整を図ることが重要」と述べた。

(第1-4段落に会見での発言を追加し、見出しと全文を差し替えて更新します.)
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