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【コラム】パウエル議長が市場に送った微妙なメッセージ

パウエルFRB議長

パウエルFRB議長

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

パウエルFRB議長

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は26日、上院銀行委員会の公聴会で、米経済は良好な状態にあるが、幾つかの「逆流と相反するシグナル」に直面したと述べた。この発言に新味はなく、一見すると事前に準備した証言テキストに沿っただけにも見える。しかしそこには、市場にとって重要な意味を持ち得るメッセージが含まれている。

  「逆流」のうち、パウエル議長が最初に挙げたのは、昨年末にかけていかに「金融市場の変動性が高まり」、いかに「現在の金融環境が以前ほど成長を支えていないか」という点であり、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)や、中国および欧州をはじめとする海外の主要経済の成長鈍化への言及はその後だった。

  経済よりも金融市場を先に取り上げたことは、金融当局が昨年12月のような株価急落の再発防止を最優先していることを、何よりも明白に示した。当局がそれまでよりもハト派的なスタンスへと今年1月に公式にシフトした理由は、昨年末の株安だと広く考えられている。

  ブリークリー・ファイナンシャル・グループのピーター・ブックバー最高投資責任者(CIO)は顧客向けリポートで、完全雇用と安定した消費者物価の実現に加えて、「資産価格を高めに維持することが正式に連邦準備制度の3番目の責務となった」と指摘した。

  こうした流れを踏まえると、パウエル議長の26日の証言は、リスク資産を下支えする連邦準備制度による「プット」という概念をさらに強固にするばかりだろう。同日の米株式市場で一時0.24%安を付けていたS&P500種株価指数がいったん0.25%高に転じたのにも不思議はない。

Fed 'Put' Confirmed?

Stocks end little changed as Powell emphasizes market volatility in congressional testimony

Source: Bloomberg

  投資家にとって非常に危険なのは、株式や社債などのリスク資産に強気になり過ぎることだ。市場はおおむね年内利上げの可能性を排除しているが、投資家の間にそうした強気ムードが強まれば、金融当局は利上げ継続を迫られる可能性がある。

  実際、これまでの相場反発を受けて米金融環境は、当局が昨年利上げしていた当時と同程度に緩和的となっている。ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのストラテジストは議長証言後の調査リポートで、「市場は米金融当局の年内の利上げ余力を過小評価している」と記した。

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Powell Delivers a Subtle Message to Markets: Robert Burgess(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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