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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日銀は追加緩和の選択肢として量的緩和の再拡大検討もー木内元委員

  • 世界経済悪化すれば円高が急速に進む可能性、日銀は追加緩和を意識
  • 量的緩和で国債市場のボラティリティー上昇も、リスク高い政策
The Bank of Japan (BOJ) headquarters stands in Tokyo, Japan, on Wednesday, Sept. 13, 2017. The BOJ\'s next monetary policy meeting is scheduled for Sept. 21. The central bank pushed back in July the projected timing for reaching its 2 percent inflation target for the sixth time as economic growth failed to drive price gains.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本銀行元審議委員の木内登英氏は、日銀が円高によって追加金融緩和策の必要に迫られた場合、国債購入などによる量的緩和の再拡大を検討する可能性があるとの認識を示した。日銀は国債の流動性に配慮し購入額を徐々に縮小してきており、木内氏は再拡大は日銀にとって好ましい選択肢ではないと分析する。

  日銀の黒田東彦総裁は19日の衆院財務金融委員会で、円高が進んで経済や物価情勢に影響を与えた場合に追加緩和を検討する考えを示した。木内氏は22日のインタビューで「世界的な景気後退があった場合、政府が財政出動に動き、日銀が協調策を求められる場面はあると考えられる」と指摘。

Former BOJ Board Member Takahide Kiuchi Interview

木内登英氏

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  世界経済が悪化すれば円高が急速に進む可能性があり、1ドル=100円を超える円高になれば、日銀は追加緩和を意識するのではないかとみている。

  日銀は長期国債の買い入れを年間80兆円をめどに続けているが、2016年9月に金融緩和の軸足を量から金利に移したことに伴い、買い入れペースを落としてきた。年間購入額は現在、目安の約半額のペースにとどまっている。

  財務省は19年度の国債発行額を6年連続で減額すると発表したが、木内氏は、政府が景気対策の財源として国債を増発する可能性があるとし、そうであれば「日銀がもっと国債を引き受けてくれた方がいい」と指摘。こうした状況は、政府の財政支出を中央銀行が紙幣増刷で賄う「ヘリコプターマネー」政策に近く、個人的には大反対だとしながらも「予測としてはあり得る」と述べた。

懸念材料

  しかし、木内氏は量的緩和について「流動性の低下で国債市場のボラティリティーが高まる」可能性があるため、非常にリスクの高い政策だとも指摘する。日銀にとってましな政策である短期金利のマイナス幅の深掘りが追加緩和のメインシナリオだとしつつ、安倍晋三政権が有権者に不評だったマイナス金利政策に抵抗があることが懸念材料だとした。

  国債買い入れなどによるマネタリーベース(市場への資金供給量)拡大は、日銀が16年9月に示した今後の追加緩和の選択肢の中で、長短金利の引き下げに後れて最後に触れられた。

  また、日本の金融機関が主要投資家の一角を占める米ローン担保証券(CLO)について、木内氏は、裏付け資産に財務健全性などの発行条件を緩和したローンが増えてきていると指摘。

  景気の悪化で企業破綻が増えれば「格付けの良いものを買っているから大丈夫、というのが当てはまらないのは、かつての債務担保証券(CDO)と同じではないか」と懸念を示した。約10年前、米サブプライム(信用力の低い個人向け)ローン問題によって高格付けのCDOが次々に毀損(きそん)した。

  木内氏は現在、野村総合研究所の主席研究員で、12年から17年まで日銀の審議委員を務めた。

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