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【コラム】日本の財政政策、中国経済の人質になるのか

  • リーマン・ショック級の出来事がない限り消費増税と安倍首相
  • パウエルFRB議長でさえ世界の減速度合いは分からなかった
安倍晋三首相

安倍晋三首相

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

安倍晋三首相

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

中国が日本の財政政策を人質として取ることになるのかもしれない。中国景気減速の悪影響が次第にアジアと世界の経済に波及しつつあることがさまざまな統計で示されている。

  ずっと力強いとみられていた日本の輸出も大きな打撃を受けた。財務省が20日発表した1月の貿易統計によれば、対中輸出は前年同月比17%減。輸出全体では8.4%減と、エコノミスト予想の5.7%減より大きな前年割れとなった。

No Extra Burdens, Please

Japanese exports slide

Source: Ministry of Finance

  こうした数値を見ると、日本経済には新たな刺激策が必要だとの考えも浮かぶ。10月に予定されている消費税の税率引き上げなどのような負担はもってのほかだ。景気懸念を理由に10%への消費税率引き上げをすでに2回延期している安倍晋三首相は、「リーマン・ショック」級の出来事がない限り今回は予定通り引き上げると表明している。文字通りに受け取っていいのだろうか。

  2008年の米リーマン・ブラザース破綻後のような状況に陥る可能性は比較的低い。だが、見通しに対するリスクは強まるばかりだ。予定されている税率引き上げは2ポイントと、14年の3ポイントより小幅なほか、安倍政権は国民の理解を得るため食料品などを対象に軽減税率を導入する方針だ。高齢化や教育に消費税の税収を充てる必要があることも増税断行の理由になる。

  一方で、米中貿易戦争の中で中国の景気拡大は失速しつつある。昨年から続く状況だが、安倍首相がこうした環境をこれまで強く意識していなかった可能性はある。世界の減速度合いを安倍首相が深く考慮していたかどうか私には疑わしく、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長にも分からなかったのに、代々政治家の一族に生まれた安倍首相に見えていたとは思えない。
 
  UBSグループのモデルによれば、18年末時点の世界経済成長率は年率わずか2.1%。国際通貨基金(IMF)による大まかなルールでは、2.5%成長というのはリセッション(景気後退)の領域だとの見方もある(UBSが正しければ、IMFの「世界経済見通し」更新版には見通し下方修正も含まれるだろう)。

  今われわれが目にしているのは、09年に世界的に活動を縮小させたリーマン・ショック級の出来事ではない。だが安倍首相を動かすには十分かもしれない。首相は考える必要がある。

  (ダニエル・モス氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、アジア経済を担当しています。以前はブルームバーグ・ニュースのエグゼクティブエディターとしてグローバル経済を担当し、アジアと欧州、北米でチームを率いていました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Japan Tax Rise Has a Target Painted on Its Back: Daniel Moss(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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