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インド航空大手の株式過半数が1ルピーで売られる不思議-QuickTake

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  • インドステイト銀行が率いる銀行団による債務の株式化
  • 総選挙に臨むモディ首相にとって大手の航空会社破綻はリスク
General Images Of Indian Carriers As IndiGo May File IPO Prospectus

Photographer: Dhiraj Singh / Bloomberg

General Images Of Indian Carriers As IndiGo May File IPO Prospectus

Photographer: Dhiraj Singh / Bloomberg

フルサービスの航空会社としてはインド最大手のジェットエアウェイズがわずか1ルピー(約1.55円)で株式過半数を売却する。複数の国営銀行による救済策の一環で、同社による増資に向けた時間稼ぎだ。数週間後に総選挙を控える中で、この計画が実現すればインド国民に最もよく知られた企業の1社が救済されることになる。

1. ジェットエアウェイズとは?

  過去10年間、ずっとインドの航空会社トップ3の一角を占めていた。インドが航空事業の国家独占を1990年代前半にやめた後、発券代理店をしていたナレシュ・ゴヤル氏が創業した。アブダビのエティハド航空が現在24%を保有するジェットエアウェイズのインド市場でのシェアは13.9%で、ロンドンやシンガポールなどへの国際線も運航している。

2. トラブルは何?

  2000年代半ばに多くの格安航空会社(LCC)が参入したことから、ジェットエアウェイズは値下げをし、一部ではコスト割れの運賃も提供。インド人旅行者の間で価格重視の動きが広がる中で、ジェット燃料に課される最大30%の地方税も重しになった。ジェットエアウェイズは過去11年のうちの2年を除いて赤字で、純債務729億9000万ルピー(約1130億円)を抱える。同社は昨年12月31日時点の現金および現金同等物を個別開示していないが、ブルームバーグの算出によれば、現金保有は約35億5000万ルピーだった。同日までに期限を迎えた融資が不履行となり、従業員や貸し手への支払いが遅れている。

3. 株式売却案、その内容は?

  インドステイト銀行が率いる銀行団がジェットエアウェイズの新株1億1400万を1ルピーで引き受け、持ち分比率を50.1%にするというもの。インド準備銀行(中央銀行)が概要を昨年示した枠組みの下での提案だ。債務超過に陥った企業のみに適用される手続き「銀行主導暫定整理計画(BLPRP)」は全ての貸し手と銀行団体、創業者ゴヤル氏、エティハド航空取締役会の承認が必要となる。ただこうした構造は一時的で、ジェットエアウェイズが投資家から資本を集めることを可能にすると見込まれる。つまり債務の株式化(デット・エクイティ-・スワップ)だ。

4. なぜ民間企業を救うことが重要か?

  総選挙に臨むモディ首相にとって、大手の航空会社が破綻し2万3000人の雇用をリスクにさらすことは、ビジネスを重視すると見られている同首相の痛手となり、雇用創出を公約を果たせなかったとの批判が広がる懸念がある。ムンバイに本社を置くジェットエアウェイズが消滅すれば、航空運賃を押し上げる可能性も高い。同社は国内37カ所に就航しており、この問題の扱いの難しさは、モディ政権が昨年、支援を求めタタ・グループに接触した際に浮き彫りとなっていた。

原題:Why a Major Indian Airline Is Being Sold for 1 Cent: QuickTake(抜粋)

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