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北朝鮮、米との首脳会談で寧辺施設解体に応じる可能性-重要度低下で

  • 解体で合意ならトランプ氏は北朝鮮非核化で初めて目に見える成果
  • 核開発継続に十分な核分裂性物質を既に確保-千英宇氏

北朝鮮の核開発は、過去約40年にわたって平壌の北に位置する寧辺の広大な施設を中心に行われてきた。トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による来週27-28日のベトナムでの首脳会談後、同施設を舞台とする核開発に幕が引かれる可能性がある。

  2回目の米朝首脳会談で寧辺核施設の解体が決まるとの観測がこの数カ月間で浮上している。韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は先週のブルームバーグのインタビューで、金委員長が寧辺核施設の解体と査察受け入れに同意したと語った。査察が認められれば、米国が北朝鮮の核開発プログラムの内容を調べる貴重な機会となる可能性がある。

Yongbyon nuclear reactor

北朝鮮の寧辺核施設の原子炉(2月14日)

ソース:DigitalGlobe

  トランプ大統領と金委員長は昨年6月に初の米朝首脳会談を行った。寧辺核施設の解体で来週合意すれば、トランプ氏は北朝鮮の非核化に向けて目に見える成果を初めて勝ち取ることになる。北朝鮮は過去にも同様の約束をしているが、実際に解体されれば北朝鮮は年に1個程度の原子爆弾を製造するのに十分なプルトニウムを得られなくなる可能性があるほか、より小型かつ強力な核兵器製造に必要なその他原料も確保が困難になる公算が大きい。

  それでもポンペオ米国務長官らトランプ政権高官が求める「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」には程遠い。金委員長が寧辺核施設の閉鎖に同意したとしても、寧辺以外にも年最大6個の核兵器製造に十分なウラニウムを生産できる秘密施設が恐らく少なくとも1カ所あると軍縮問題の専門家らは指摘する。

  北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の韓国首席代表を務めた千英宇(チョン・ヨンウ)氏は、金正恩政権が核弾頭の向上と米本土が射程に入る大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に照準をシフトさせたと指摘。北朝鮮は恐らく、核開発プログラムの大半を継続するのに十分な核分裂性物質を確保しているのだろうと述べた。

  千氏は「これは10年前のわれわれの主な懸念だった。今や寧辺施設の相対的な価値や寧辺以外の濃縮施設は取るに足りないものとなっている」と指摘した。

  それでも寧辺は北朝鮮の核開発で象徴的な価値を持つ。1979年に建設され、発電量は多くないが、2006年の北朝鮮初の核実験に要したプルトニウムと研究施設を提供した。

  金委員長は昨年9月に韓国の文在寅大統領と行った南北首脳会談で、米国からの「相応の措置」と引き換えに寧辺施設の「恒久的な解体」に同意する用意があることを明らかにした。文正仁大統領統一外交安保特別補佐官によると、金委員長は会談中に解体の検証を受け入れる考えも示したという。

  金委員長は寧辺施設解体の見返りに国際的な経済制裁の緩和を要求するとみられている。解体の際に査察官がいつ、どこに入ることが認められるかを巡り慎重な交渉が必要となるが、10年前に同様の問題で協議が決裂した経緯がある。北朝鮮が核物質を他の施設に移す恐れもある。

寧辺核施設:米国との交渉の切り札となった経緯
  • 1979: 5メガワット級の原子炉建設始まる
  • 1985: 北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)に加盟
  • 1986: 原子炉の運転開始
  • 1994: 核計画凍結する「米朝枠組み合意」
  • 2002: 北朝鮮が査察官を追放、施設再稼働
  • 2003: 北朝鮮が再度NPT脱退を表明
  • 2006: 初の核実験を実施
  • 2007: 閉鎖と引き換えの援助に6カ国で合意
  • 2008: 北朝鮮が冷却塔を爆破
  • 2009: 協議が決裂、査察官を再び追放
  • 2010: 専門家チームが寧辺のウラン濃縮施設を訪問
  • 2017: 北朝鮮が水爆とICBM実験
  • 2018: 金委員長が米の「相応の措置」と引き換えに解体を提案

原題:Why North Korea May Give Up Nuclear Crown Jewel at Trump Summit(抜粋)

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