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中国で広がる利下げ観測-問題はどの金利下げるか、市場で割れる見方

  • 最も強力な措置は2015年以来となる基準金利下げ、副作用も大きく
  • より有力な見方はリバースレポやMLF金利下げ-人民銀も選好か
A pedestrian walks past the People's Bank of China headquarters in Beijing, China.
A pedestrian walks past the People's Bank of China headquarters in Beijing, China. Photographer: Giulia Marchi/Bloomberg
A pedestrian walks past the People's Bank of China headquarters in Beijing, China.
Photographer: Giulia Marchi/Bloomberg

中国経済の減速やインフレの落ち着きを受けて、中国人民銀行(中央銀行)による利下げ観測が広がっている。問題はどの金利を引き下げる可能性が最も高いのかについて、アナリストらの見方が一致していないことだ。

  人民銀は金融政策運営で幅広い手段を備えている。最も強力な措置は2015年以来となる基準金利の引き下げだ。中国経済全般の借り入れコストを下げることになるが、人民元安や資産バブルのリスクはその分高まる。

  より有力視されているのは、銀行を対象とした短・中期の資金調達コスト引き下げだ。ローンプライムレート(LPR)の下方誘導を見込む向きもある。

  米金融当局は利上げに慎重姿勢を強めており、人民元を含む新興国通貨に対する下落圧力は和らいでいる。どの金利が選ばれたとしても、必要なら中国が利下げに踏み切る珍しい局面に入りつつある。

  DBS銀行(香港)のシニアエコノミスト、ネイサン・チョウ氏は「利下げの可能性はかなり高い」と分析。4-6月(第2四半期)末までに0.25ポイントの利下げが行われる可能性があると指摘した上で、「そうすれば資金調達コストは大きく下がり、銀行に融資拡大を促すことになる」と述べた。

基準金利

  現在4.35%となっている1年物貸出基準金利の引き下げは広く見込まれておらず、簡単でもない。

  基準金利の下げは、住宅ローンの借り手を含めたあらゆる対象の資金調達コストを下げることになり、強力な手段だ。だが、国債利回りの低下でドル建てに比べて中国資産の魅力が落ちるため人民元の下落圧力は強まる恐れがある。さらに利下げは不動産など既に高騰している資産への資金流入を促すことになり、金融の正常化への取り組みにも逆行する。

  このため、基準金利の引き下げ観測は比較的最近まで乏しかった。事実、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値では今年と来年の1年物貸出金利の変更は見込まれていない。とはいえ、4-6月の基準金利下げを予想するアナリストの数はバークレイズの常健氏を含め、昨年12月の4人から6人に増えている。

Money market rates below policy rate signal room for easing

銀行間金利

  より有力な見方は、公開市場操作(オペ)を通じたリバースレポ金利や、中期貸出制度(MLF)金利が引き下げられる可能性だ。銀行の調達コストは下がり、その恩恵は一般にも行き渡るかもしれない。米連邦準備制度のディスカウントウインドーに相当する常設貸出制度(SLF)金利の下げも早ければ今月からあり得ると、劉利剛氏率いるシティグループのエコノミストチームがリポートに記した。

  人民銀は現在、このルートを選好しているようだ。基準金利を引き下げずに銀行間の借り入れコストを静かに下方へと誘導。MLFなど金利が相対的に高い手段を通じた資金調達から、金利がより低く期間が短めの資金への置き換えを中心に進めている。ただ、景気減速が深刻化した場合、この方法では信頼感の回復と貸し出しを維持するには力不足となる公算が大きい。

ローンプライムレート

  現在4.31%となっているローンプライムレート(LPR)は、主要銀行の最優遇貸出金利に基づいて人民銀傘下の部門が日次ベースで公表する加重平均金利。みずほセキュリティーズアジアはLPRの下げが「近く」行われる可能性を指摘した。

利下げ見送り

  中国の年初の経済指標は春節(旧正月)休暇によるゆがみが生じるため、実態を把握するのは非常に難しい。中国経済の基調的なモメンタムは4-6月に入るまで非常に不透明かもしれない。

  昨年講じた刺激策による効果でそれまでに景気が持ち直すと見込むエコノミストもいる。与信データは既に需要の回復を示唆しており、景気を刺激する間接的な取り組みが奏功しつつある可能性を示している。利下げが実行可能となっているころには、その必要はなくなっているということもあり得る。

原題:PBOC Rate-Cut Bets Have China Analysts Asking, ‘Which Rate?’(抜粋)

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