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デジタルレーバーが事務代行、ロボット事業で起死回生の成長ーRPA

  • ホワイトカラー業務を効率化、「生産性革命が起こせる」ー高橋社長
  • ソフトバンク・孫氏との出会いで起業へ、18年の株価は339%上昇

「銀行口座の残高が1000万円を割ったときは全てなくなると思った」ー。リーマンショック直後に運営する前身のコンサルタント会社が経営難に陥ったRPAホールディングスの高橋知道代表取締役。いち早く見いだした事務ロボットへの事業転換は起死回生の一手となった。

  高橋氏は2000年に起業し、大企業向けにインターネットビジネスの導入を手伝うコンサル会社を経営していた。しかし、08年の金融危機で仕事は激減し、従業員約30人の給料が払えなくなる寸前まで困窮した。苦しい中で新ビジネスへとかじを切ると決断し、創業メンバーと共に目を付けたのは「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」という技術を使ったソフトウエア型のロボットだった。

RPA Holdings CEO Tomomichi Takahashi Interview

RPAの高橋代表取締役

Photographer: Shiho Fukada/Bloomberg

  社名に冠するRPAとは、機械学習や人工知能(AI)などの技術を活用し、ホワイトカラーが行う事務作業を効率化するもの。従来、人が手入力していた業務をソフトウエアが仮想労働者(デジタルレーバー)として代行・自動化し、人員や時間、ミス削減につなげる。高橋氏は「工場のロボットと同様にルーティンワークをソフトウエアにやらせれば、生産性革命が起こせる」と着想した。

  住宅ローン金融のアルヒは、17年1月からRPAのシステムウエアを導入した。顧客の手書きローン申込書を審査システムに入力する際、1件あたり60分かかっていた手入力から自動化させて10分で完了。ほかの業務効率化策と合わせて、融資実行を従来の最短6日から3日に短縮した。アルヒ企画本部システム部の西田哲部長は、「中古物件販売などスピード対応が求められる中、ほかの金融機関に対して競争力になっている」と言う。

次はAI・ロボット

  RPA事業には08年から本格参入し、導入企業を開拓。これまでに日本生命保険や三菱UFJフィナンシャル・グループなどが同社のサービスを採用、18年11月末までに500社超へ導入した。18年3月には東京証券取引所マザーズに新規株式公開(IPO)し、株価は公開価格(3570円)の約5倍超まで上昇、その後は1対5の株式分割を行い、2月19日の終値は3270円、時価総額は875億円前後。18年の株価は339%上昇し、東証マザーズで上昇率第2位。

  高橋氏は「デジタル情報革命とは技術の大衆化」と定義する。30年前に米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏がパソコンを大衆化させたのに続き、次の10年でインターネット、その次の10年でスマートフォンが登場して一般化していったと指摘。今後の10年については「AI・ロボットが劇的に大衆化する」とし、100倍パワフルになるか、価格が100分の1になって普及するとみる。

  同社株式を保有する独立系運用会社レオス・キャピタルワークスの渡邉庄太運用部長は、RPAの事業について「日本の社会、経済が抱えている問題にベストマッチしている」と評価。ただ、「バリュエーションが高いため、株価が上がりにくいタイプの銘柄になるのではないか」とし、保有比率を一定にとどめているという。ブルームバーグのデータによると、2月19日現在のRPA社の予想株価収益率(PER)は約98倍で、東証マザーズ指数の約49倍との比較では割高。

孫氏の薫陶

  高橋氏は93年に一橋大卒後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。96年にソフトバンクに移り、孫正義社長との出会いによって独立を決意。同氏からは「デジタル情報革命の時流に乗って誰かが何かをやるなら、それはお前たちでなくていいのか」とハッパを掛けられていた。インターネットを使えば大企業とも戦えると考えて独立した高橋氏にとって、孫氏から学んだ「スピードとオーナーシップ」が今も原点にあるという。

  RPAはマザーズ上場から約半年たった昨年10月、東証1部市場への変更を目指すと発表。高橋氏は、「将来的に成長に必要な資金を安定的かつ機動的に調達することが可能になる」と話す。今期の売上高計画は前期比2倍以上の91億円。高橋氏はRPAのツール販売に加えて「ソフトウエアロボットを使った事業には桁違いのマーケットがある」とし、事業提携なども視野に「しっかり波をとらえられれば、売上高1兆円も荒唐無稽な数字ではない」と語った。

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