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米朝首脳会談で日本が恐れるトランプ氏の「甘い対応」

更新日時
  • ICBM廃棄だけでは困る、中途半端な合意は最悪-藪中元外務次官
  • トランプ氏の指導力評価、ノーベル賞推薦はコメント控える-安倍首

トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は27、28両日ベトナムで2回目の米朝首脳会談に臨む。両国が非核化やミサイル開発凍結に向けた合意を模索する中、日本の専門家や政界関係者からは自国への脅威を残したままの交渉進展を懸念する声が上がっている。

  元外務事務次官の藪中三十二氏は8日、フォーリン・プレスセンターで記者団に対し、核・ミサイル問題について米朝が「極めて中途半端な合意」を結び、米国が経済制裁の解除を含む「甘い対応」をすることが2回目の会談結果として最悪のシナリオであると懸念を示した。

  藪中氏は、北朝鮮が開発している大陸間弾道ミサイル(ICBM)についても、「これ以上のICBMは撃たないということで、米国本土は良いかもしれないが、それでは日本が困る」と日本を射程にする短・中距離弾道ミサイルも含めた解決が必要との認識を示した。核に関しても、「本格的な非核化のためにはきちんと北朝鮮に申告させて、包括的な核廃棄に向けての行動を取る」ことが重要だと述べた。

Japan's Prime Minister Shinzo Abe and China's Premier Li Keqiang Hold Japan-China Summit

安倍晋三首相

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  安倍晋三首相は12日の衆院予算委員会で、北朝鮮問題について「核・ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題を解決するとの決意で引き続き全力で取り組んでいきたい」と日本の立場を説明。自身の考え方については、トランプ氏と「既に大体話をしている」とした上で、米朝首脳会談前に電話会談を行って「日本としての考え方を伝えたい」と語った。

  中国との通商協議や国内問題を抱えるトランプ氏と安倍首相との直接のやりとりは減少している。日米首脳会談は昨年11月の20カ国・地域(G20)首脳会議の際が最後で、その後電話会談も行われていない。昨年6月の1回目の米朝首脳会談に向けては、直前3カ月に首相が2度渡米して会談したほか、当日も含めて5回電話会談した。

個人的関係

  国民民主党の大野元裕元防衛大臣政務官は、「日本と米国の間の今までの強みは首脳同士の個人的関係」だったと指摘し、そうした関係が「今、使えないのだろう」と現在の状況を分析した。拉致問題をはじめとした日本側の懸念を伝えるため、トランプ大統領には「一番良いのは事前に日本に寄ってからベトナムに行ってもらう。日本が伝えるべきことを伝える、それはしつこく言ってもしつこすぎない」と述べた。

  元外交官で外務省日中韓協力事務局次長を務めた自民党の松川るい参院議員は、今回の会談は「途中段階」であり、在韓米軍について協議される可能性は低いものの、朝鮮半島が融和に向かうことで将来的に在韓米軍は「減る方向だろう」との見方を示した。

  トランプ大統領は15日の記者会見で、安倍首相から北朝鮮問題への取り組みによってノーベル平和賞に推薦されたことを明らかにした。理由についてトランプ大統領は「日本の上空をミサイルが飛び、警報が鳴っていた。今は突如として日本人は心地よさと安心を感じている」からだと説明、安倍首相に謝意を伝えたという。

  安倍首相自身は18日の衆院予算委員会で、トランプ大統領の対北朝鮮外交について「核・ミサイル問題の解決に向けて果断に対応されている」と指摘。「リーダーシップを高く私は評価している」とも述べたが、ノーベル平和賞に推薦したかどうかについては「コメントを差し控えたい」と明言しなかった。

(第8、9段落を追加します.)
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