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ゴールドマンがM&A助言で2年連続首位、外資系優位崩れず

  • 日本勢首位は4位野村HD、16年に首位のみずほFGはトップ10逃す
  • 業界でトップ狙うような案件もっと出てくる可能性-京大の松本氏
Goldman Sachs Hands Clients Losses In 'Top Trades'

Photographer: Daniel Acker / Bloomberg

Goldman Sachs Hands Clients Losses In 'Top Trades'

Photographer: Daniel Acker / Bloomberg

ゴールドマン・サックス・グループが2018年の日本企業関連の合併・買収(M&A)助言業務で、2年連続の首位となった。取引総額(純負債を含む)は武田薬品工業がシャイアーを買収した巨額案件(約8兆8300億円)がけん引して過去最大となり、件数も過去最多を更新した。

  ブルームバーグのデータによると、18年の日本関連M&Aは3393件、34兆3000億円。武田薬とシャイアーの案件が取引総額の約26%を占めた。買収件数ではソフトバンクグループが50件と2位の電通(35件)以下を引き離した。取引額と株式価値の差である買収プレミアムは平均18%と16年の25%をピークに落ち着いてきている。

Takeda Pharmaceutical CEO Christophe Weber News Conference

武田薬のChristophe Weber社長

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  ゴールドマンは武田薬の案件のほか、米ウォルマートによる印電子商取引(EC)会社フリップカート・グループ買収、カルソニックカンセイによるフィアット・クライスラー・オートモービルズ傘下の自動車部品会社買収と金額トップ3案件全てに関わったことなどで17年に続きトップを守った。

アドバイザー取引金額合計取引件数
1ゴールドマン・サックス15兆3143億円33
2三菱UFJモルガン14兆8263億円57
3JPモルガン14兆4308億円21
4野村HD13兆5367億円119
5三井住友FG12兆2579億円151

  純粋な日本勢では4位の野村ホールディングスが最高と、外資系金融機関の優勢ぶりが目立つ。10位以内に入った日系アドバイザーは野村HD、三井住友フィナンシャルグループの2社だけで、16年にシェア首位だったみずほフィナンシャルグループは今回11位とトップ10入りを逃した。

Goldman Sachs Hands Clients Losses In 'Top Trades'

ゴールドマンのNY証取のロゴ

Photographer: Daniel Acker

  理由の一つとして、日本企業のグローバル化に伴い、クロスボーダーM&Aの知見が一層求められるようになったことが挙げられる。例えば、取引額2位のフリップカートの案件ではソフトバンクグループが株式を売却しているが、発表資料によると日本勢は財務アドバイザー(FA)に入っていない。武田薬がシャイアー買収で採用したFAでは6社のうち日本勢は野村HD1社だけだった。

  一橋大学大学院の伊藤友則教授は「グローバルなM&A助言には高度な知識やノウハウが必要で、海外企業の情報を持っていないとFAに指名してもらえない。存在感を増すためには長い目で海外にフランチャイズを作っていく必要がある」と指摘する。

  だが、米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスを部門買収した野村HD欧州部門の慢性的な赤字に見るように、実践は簡単ではない。伊藤教授は「当面、日系が劣勢に立たされる場面は続くのではないか」とみる。

世界のトップリーダー

  19年の日本関連M&A市場は、ソフトバンクの米ウィーワーク出資のほか、KDDIがカブドットコム証券への株式公開買い付け(TOB)を発表するなど引き続き活発で、18日時点で407件、2兆7000億円となっている。

Hitachi President Toshiaki Higashihara News Conference As Japanese Conglomerate To Buy ABB's Power Grids Unit Valued at $11 Billion

送配電事業の買収をする日立の東原社長

Photographer: Junko Kimura/Bloomberg

  足元の見通しについて、ゴールドマンの投資銀行部門M&A統括責任者、矢野佳彦氏は「国内の再編や海外企業の買収などあらゆる業界でM&Aは活発に起こる」と予想する。注目点として「アクティビストの日本に対する関心も高まっており、コーポレートガバナンス(企業統治)や株主還元、事業ポートフォリオの見直しなどに企業が目を向ける契機となるかもしれない」とコメントした。

  京都大学大学院の松本茂特命教授は「業界でトップを狙うような案件がもっと出てくる可能性がある」と指摘。15年のDMG森精機による独ギルデマイスターの子会社化や、海外中心に積極的なM&Aを続けるダイキン工業などを例に挙げ、「ここ3-5年でそうした買収が目立つようになった。日本企業が本格的に海外買収を始めて約30年、ようやく実績や資金が伴い、経営者の買収哲学も変わってきたのだと思う」と分析する。

  日立製作所は18年12月、スイスのABBから約7140億円で送配電事業を買収すると発表。会見した東原敏昭社長は、大事なのは日立を世界のトップリーダーにすることだと述べた

  同案件で日立のFAを務めたUBS証券M&Aアドバイザリー部統括責任者の安藤浩二氏は「外資系であっても日本に拠点を構えているわれわれにとっては、単に海外の拠点網につなぐだけでなく、日本企業の側に立ってグローバルなステップアップを手伝うスタンスが重要。そうでなければ信頼を勝ち取ることができない」と述べた。

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