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LGBTが「国際金融都市・東京」復権のキーワード-外国人獲得

更新日時
  • グローバルスタンダードになった方が良いーブラックロック・有田氏
  • 自民・稲田氏が理解促進法に旗振りも、同性婚容認の議論進まず
Members of plaintiff demanding same-sex marriage in Japan enter the Tokyo District Court on Feb. 14.
Members of plaintiff demanding same-sex marriage in Japan enter the Tokyo District Court on Feb. 14. Photographer: Kenichi Matsuda/Yomiuri Shimbun
Members of plaintiff demanding same-sex marriage in Japan enter the Tokyo District Court on Feb. 14.
Photographer: Kenichi Matsuda/Yomiuri Shimbun

国際金融都市として東京が復権を果たすには、同性婚など性的少数者(LGBT)の権利を認めることが近道との声が海外ビジネス界などから上がっている。世界的な人材獲得競争で後れを取らないために欠かせない条件となりそうだが、実現には法整備など国レベルの取り組みが必要となる。

  東京の活性化に期待を寄せる世界最大の資産運用会社、米ブラックロックの日本法人、ブラックロック・ジャパンの有田浩之社長は、同性パートナーの在留が認められないなどLGBTに関する対応の遅れが「有為な人材を日本に取り込む時に障害になってはいけない」と指摘。こうした人材が「香港やシンガポールに流れてしまうことがあるとすれば、それは避けた方が良い」と述べた。

  日本では東京都渋谷区など複数の自治体が夫婦に相当すると認めるパートナーシップ制度を導入したが、国は同性婚、パートナーシップ制度を共に容認していない。法務省によると、米国や欧州など26カ国・地域で同性婚が認められている。アジアでは昨年7月、香港の終審法院(最高裁)が英国人女性の同性パートナーへの扶養家族ビザ支給を実質的に認可する判断を示した。台湾でも年内に同性婚が合法化される見通し。

Demanding same-sex marriage in Japan

同性婚訴訟を起こした原告ら(14日、東京地裁)

Photographer: The Yomiuri Shimbun via AP Images

  在日米国商工会議所(ACCJ)が昨年9月、LGBTカップルに婚姻の権利を認めることを日本政府に提言。英国、アイルランド、カナダ、オーストラリア・ニュージーランドの在日商工会議所も賛同するなど海外ビジネス界からの要請が強まっている。

国際金融都市構想

  東京都が2017年11月にまとめた「国際金融都市構想」は優秀な金融関係の人材、資金、情報、技術の集積する都市を目指している。小池百合子知事は、東京に「ウォール街を作りたい」と意気込んでおり、特に資産運用や金融サービスに革新をもたらすフィンテックを中心に20年までに約40社の外国企業の誘致を目標に設定した。

  そこで新たな取り組みとして盛り込んだのが、優秀な金融人材を外国から呼び込むために外国人同性パートナーの在留に特例を設けるなどのLGBT政策だ。 日本では現在、外国で同性婚が成立した場合は配偶者の在留を「特定活動」として原則認めているが、自治体独自のパートナーシップ制度による登録の場合は認可されていないからだ。都は国家戦略特区制度を活用し、パートナーシップの場合でも在留できる特例創設を国に要望した。

  ブラックロック・ジャパンの有田社長は、東京は税制や英語対応などさまざまな課題があるものの、治安や気候に恵まれており「東京に行きたい、東京が頑張ってくれたらと思う人は多い」と説明。「人が動く時の規制や慣行も、できるだけグローバルスタンダードになった方が良い」とも述べ、LGBTでも働きやすい都市に変貌することが急務との考えを示した。

LGBT理解促進法案

  中央政界でも取り組みは始まっている。政権与党である自民党で旗振り役となっている稲田朋美筆頭副幹事長はインタビューで、LGBTへの理解を進めることを国や自治体の責務とする理解促進法案を「できれば今通常国会に提出したい」と語った。

  安倍晋三政権で行政改革担当相、防衛相を歴任。保守を自認する稲田氏は、LGBT問題に取り組むことで「結構、支援者もなくしている」と話す。「保守だと思っていたのに、左翼になってしまったのか」と言われることもあったというが、弁護士でもある立場から「これは人権の問題だ」と法整備の必要性を強調した。

  政調会長だった16年には「性的指向・性自認に関する特命委員会」を発足させたが、法案提出には反対意見が多く、これまで見送られてきた。杉田水脈衆院議員は昨年、同性カップルを「生産性がない」とする文章を月刊誌「新潮45」に寄稿。差別的な内容への反発が広がり、同誌は休刊に追い込まれた。

  こうした状況を踏まえ、稲田氏はLGBTについてまだ理解を進める段階であり、党内では同性婚容認を「議論できる状態にはない」との認識を示した。

U.S. Secretary of Defense James Mattis And Japanese Defense Minister Tomomi Inada Hold Joint News Conference

稲田朋美氏

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  一方、立憲民主党など野党は、行政や企業に差別的な取り扱いを禁止するLGBT差別解消法案を昨年12月、国会に提出した。同党は同性婚を制度化する民法などの改正案を検討しており、7月の参院選で同性愛者であることを公表している2人を擁立する方針。LGBTへの対応が争点の一つに浮上する可能性もある。  

  同性愛者であることを公表している同党の尾辻かな子衆院議員は、同性婚について「どの世論調査を見ても反対派より賛成派の方が多い」と指摘。法整備が進まないことは、「世論と政治のかい離」だと訴えた。

  同性婚を巡っては、全国の同性カップル13組が14日、同性婚を求める訴訟を一斉に起こした。同日の国会審議で尾辻議員が同訴訟への政府の認識を質問したのに対して菅義偉官房長官は、「同性婚を認めるか否かはわが国の家族の在り方の根幹に関わる問題」とし、極めて慎重な検討を要する案件だと述べた。

   NHKが17年に実施した世論調査では、同性婚を認めるべきかとの問いに「そう思う」とした人が50.9%、「そうは思わない」は40.7%だった。

(第2、7段落目にブラックロック・ジャパンのコメントを追加して更新します.)
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