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Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
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日銀異次元緩和が財政規律を弛緩、消費増税先送りも-小黒法大教授

更新日時
  • 長期金利は日銀の0%誘導がなければ1%くらいでもおかしくない
  • 金融政策のつけは全て財政に行き着く、国民は多大なコスト負担へ

元財務官僚の小黒一正法政大学教授は、長期にわたる日本銀行の異次元緩和が財政規律を緩ませており、10月に予定される消費増税は先送りされる可能性もあるとみている。

  小黒教授(45)は1997年に京都大学理学部を卒業して大蔵省(現財務省)に入省、2015年から法大教授。専門は公共経済学。13日のインタビューで「財政がきちんと運営されるためには市場の規律が働かなくてはならないが、日銀が金利を押しつぶしているのでそれが働かなくなっている」とし、日銀による金利の抑制が「財政規律を弛緩(しかん)させている」との見方を示した。

Hosei University Professor Kazumasa Oguro

小黒一正・法政大学教授

Source: Makoto Ozaki via Bloomberg

  政府は消費増税に伴う景気対策としてさまざまな財政措置を講じているが、増税自体が「本当に実施されるか断定できない」と指摘。10月以降に授受がある不動産売買契約などは消費税法上の経過措置で特別規定があり、4月を過ぎれば延期できないとの主張もあるが、「法律を変えれば何でもできる」と語った。

  安倍晋三首相は14年11月、消費税率の10%への引き上げを15年10月から17年4月に先送りするとともに解散総選挙に踏み切った。主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)直後の16年6月には、19年10月に再度先送りすることを表明して参院選を戦った。今夏は参院選が予定され、衆参同時選挙も取りざたされる。6月には大阪で20カ国・地域(G20)首脳会合も開かれる。

  日銀は2%物価目標を掲げて金融緩和を続けているが、小黒教授は「日本は政府が医療、介護、保育、教育、上下水道などサービス価格を統制しており、携帯電話通話料にも介入するケースがあるのに対し、米国は自由市場なのでサービス価格が高く、全体として物価上昇率が高い」と指摘。その差は「金融政策の問題ではない」と語った。

金利1%上昇で利払い10兆円以上増

  日銀は13年4月、黒田東彦総裁の下で大量の国債などを購入する量的・質的金融緩和を開始。14年10月に追加緩和、16年1月にマイナス金利を導入したが目標は遠く、同年9月に長期金利を0%に誘導する長短金利操作を開始した。18年末の国債および借入金は1100兆5266億円と過去最高を更新したが、低金利の恩恵を受けて国債の利払い費は18年度予算で約9兆円にとどまった。

  小黒教授は、物価上昇率、米国の長期金利、マネタリーベース等から長期金利水準を推定した多くの試算では「日銀が0%に誘導してなければ1%くらいになっていてもおかしくない」と指摘する。国債の平均償還期限が10年として計算すると、金利が1%上昇すると利払い費は毎年1兆円ずつ増え10年間で10兆円増となるが、名目成長率は1%上昇しても約70兆円の税収等は0.7兆円しか増えないので、財政収支はさらに悪化するという。

  来年度予算案は100兆円超と過去最大だが、金利抑制がなければ「もっと膨らむ可能性がある」と指摘。異次元緩和の長期化で「今は居心地の良い均衡が保たれているが、永遠には続かない」と語った。「景気もいつ息切れしてもおかしくない状況だし、怖いのは海外で急にショックが起きた時だ。地域金融機関もおかしくなり始めており、スルガ銀行の不正融資も歪みの一端である可能性がある」との見方を示した。

物価や通貨の安定損なわれる

  地域金融機関の破綻が相次げば、金融システム維持のための財政負担も増大する。政府が統制する公共料金も財政のひっ迫で中長期的には引き上げられる可能性が高い。国内物価がどこかで上昇を始めれば、日銀は異次元緩和の出口に向かわなければならないが、その時、日銀の財務は赤字化するとの声もある。小黒教授は「金融政策のつけも最終的には全て財政に行き着く」と語った。

  最大の問題は「物価が上昇して金利を上げなければならない状況で、財政当局は金利を抑えるために金融緩和を続けてほしいので、日銀とは利害が対立することだ」と指摘。最終的には「財政が日銀を押し切ることで、物価や通貨の安定は損なわれ、国民は大きなコストを支払わなければならなくなるのではないか」と語った。

(第7段落を差し替えて更新します.)
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