コンテンツにスキップする

授業料年150万円の進学塾人気、リソー教育は株価上昇-少子化追い風

  • 割高な個別指導で差別化、共働き世帯の増加や祖父母からの支援拡大
  • 業績好調で株価は過去6カ月で7割強上昇-ゴールドマン調査開始

都内在住の森典子さん(47)は6歳の娘の小学校受験に備えるため、昨年の夏から秋にかけての数カ月間の講習費用として、約70万円を支払った。利用したのはリソー教育グループ傘下の名門小学校受験向けの講習や模擬試験だ。

  森さんは「他のお受験塾と比べると親が参観ができないのに高いなと言う印象はあった」と話す。しかし、「模試では先生が子供の弱点や性格を短時間で見抜いていてプロだなと思った。練習で受けた学校から合格をもらえたので受講して良かった」と感じている。

  森さんのように子供の教育に高額な出費を惜しまない家庭が増えている。その背景にあるのは、世帯当たりの子供の数が減少していることに加え、高齢者の増加や税制の影響による祖父母からの教育費支援拡大だ。

Riso Kyoiku

リソー教育の授業の光景

Source: Riso Kyoiku Co.

  幼稚園、小学校受験塾の「伸芽会」や、小学校から高校生までを対象にした個別指導塾「TOMAS(トーマス)」などを運営するリソー教育にとっては追い風となっている。同社が1月に発表した決算発表資料によると、3-11月期の伸芽会の生徒数は前年同期比16%増加し売上高は同15%増えた。

  リソー教育は1985年に創業。当初は講師1人が少数の生徒を教える形で開業したが、90年代には既に少子化問題が顕在化し、ターゲットを富裕層に絞って費用は高くても一対一で個別に指導する塾へと移行した。2003年には伸芽会を買収。同事業では幼稚園と小学校の受験対策に加え、共働き世帯向けの受験対応型託児所も運営しており1歳児からや小学3年生までを預かっている。

Riso Kyoiku founder Mitsugu Iwasa

創業者の岩佐実次氏

Source: Zaikai Co.

  同社の創業者で取締役相談役の岩佐実次氏はブルームバーグのインタビューで、学習塾業界は常に生徒確保に奔走せざるを得ない「自転車操業」の宿命を背負っており、伸芽会の買収は1歳児から大学受験を控えた高校生までをグループで囲い込むというビジネスモデル構築を狙ったものだったと話した。

  トーマスは現在リソー教育全体の営業利益の約半分を稼ぐ。首都圏を中心に80校程度展開しており、授業料は年間120万円から150万円。伸芽会と同様にトーマスも生徒数が増加しており、3-11月期の売上高は前年同期比9.6%増と業績も好調だ。岩佐氏は、成長の背景には「差別化」があるとし、「業界でも補習塾ではなく進学塾で一対一の個別指導はうちだけ。よそとは違うことをしっかりアピールし認識してもらえたからではないか」と話した。

  ゴールドマン・サックス証券の野波由貴子アナリストは昨年12月19日付のリポートで、個別指導塾の市場は17年までの10年間で1.6倍に拡大しており、国内教育市場全体をけん引していると指摘。その中でも差別化されたビジネスモデルを持つ企業として、同証券はリソー教育とスプリックスの調査を「買い」で開始した。リソー教育の営業利益は、出店数増加により24年2月期まで年平均23%成長するとの見通しを示した。

  この成長が現状の株価には織り込まれていないとし、当初は目標株価を600円に設定。その後、1月15日の決算発表で想定を上回る業績が示されたことなどから目標株価を650円に引き上げた。リソー教育の3ー11月期の営業利益は前年同期比34%増の15億円。今期(19年2月期)の営業利益予想も前期比26%増加する見通しだ。14日の株価終値は477円。生徒数の増加や好調な今期業績予想を背景に株価は過去6カ月間で7割強上昇した。

堅調なリソー教育の株価

  岩佐氏によると、授業と生徒獲得のための営業活動を分離し、講師を指導に専念させたことが進学実績の向上につながった。そのために授業料は業界最高値。個別指導の同業には明光義塾や東京個別学院などがあるが、顧客層が異なっており競合しないという。同氏は「共働き世帯が増えているので、お金を掛けて子供に良い教育をしていける時代の流れに乗っている」と分析する。

囲い込み戦略

  岩佐氏が「ようやく花が咲く段階」を迎えたと話すのは、個別指導を学校の中で行う学内個別指導塾事業だ。学校法人向けに個別指導のノウハウを提供している。需要があるのは「偏差値が50前後」の学校が中心で、偏差値60以上の学校になると「メンツもあるので難しくなる」という。

  背景には少子化の余波で生徒集めに苦労する学校側の需要がある。費用の分担は三者三様。学校が全額負担するケースもあれば、生徒側が負担したり、両者が折半したりすることもある。学校あたりの売り上げは年間約3000万ー4000万円で、今夏までに契約校は65校に達する見込み。100校を突破した後に、政府に公立学校での導入を働きかけることを計画している。

さらなる成長目指し

  小・中学受験の動向に詳しい森上研究所の森上展安代表は「個別指導はニーズとしては引き続き高いので需要は落ちない」と話す。一斉指導よりも個別指導の方が魅力的なカリキュラムを組むなどの対応が必要になるとし、常に指導の質を上げていくために、生徒の「問題点を洗い出し、集合的なノウハウを蓄積していかなければならい」と指摘した。

  さらにリソー教育の課題は「指導のための人事が足りないこと」と見ている。「人材の流動性を高め、いろいろな業界から人を呼び込む必要がある」との見方を示した。

  岩佐氏も成長の鍵を握るのは優秀な社員だと考えており、現在は子会社ごとに行っている講師や社員の採用や研修業務を人材専門の子会社に集約し、将来は人材の外部派遣にまで事業を拡大したい考えを明らかにした。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE